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『ラブ&ピース』

 
       

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作品データ
制作年・国 2015年 日本
上映時間 1時間57分
監督 監督・脚本:園子温  主題歌:RCサクセション「スローバラード」
出演 長谷川博己、麻生久美子、西田敏行、松田美由紀、渋川清彦、奥野瑛太、マキタスポーツ、深水元基、手塚とおる、小倉一郎他 〈声の出演〉星野源 中川翔子 犬山イヌコ 大谷育江
公開日、上映劇場 2015年6月27日(土)~TOHOシネマズ(新宿・渋谷)、TOHOシネマズ(梅田・なんば・二条・西宮OS)、OSシネマズミント神戸、ほか全国ロードショー

 

~園子温監督が“ずっと描きかったもの”、ここに全開、そして炸裂!~

 

“ラブ&ピース”と聞くと、我々の世代はやはり黄色のニコニコマークを思い出すが、この映画におけるピースは、平和を意味するpeaceと、人生の欠片pieceのダブルミーニングだ。で、そのタイトルからイメージされるユートピア的なスイートなもんを期待しているならば、心して観るベし。監督は、あの園子温である。私は『愛のむきだし』でノックアウトされ、まあその後の作品では面白いものも気色悪いものもあったが、本作でまたもやノックアウトされた気分。しかも、彼は今年でもう4本も映画作品を作っちゃったという恐るべきつわものである。心して観るベし、いや、心して楽しむべし。

L&P-500.jpg主人公の鈴木良一は、ロックミュージシャンを目指しつつ、挫折。今はサラリーマンなのだが、なんとも不甲斐ない毎日を送っている。上司や同僚からはコケにされ、秘かに思いを寄せている同僚の寺島裕子にも胸の内を明かすことなんてできずにいる。そんなある日のこと、デパートの屋上で彼は運命の出会いを果たす。相手は小さなミドリガメ。“ピカドン”と名づけてペットにするのだったが、それから思いがけない人生の反転が良一を襲う…。

L&P-500-2.jpg弱者から強者へと変身した主人公のイヤミなこと!鼻もちならぬ男に成り下がった良一の世界と並行して、途中から別世界のお話が語られていく。正体不明の初老の男が仕切っている地下世界、そこには捨てられた動物やおもちゃが集まっている。彼らは言葉を話し、人間のような感情も持っている。シャバに出てはいけない彼らが街へ脱走するシーンの、マリアという名の人形にまつわるエピソードは哀しく、この地下世界のお話はファンタジーだなあと思っていたら、ちゃんと最後になぞが解明される。そして、クライマックスはほとんど怪獣映画である。日本が大得意とする特撮技術がしっかり駆使され、何の関係があるのかと思われていた良一とミドリガメのお話、地下世界のファンタジー、怪獣映画的部分が、するすると結合していくのだ。


捨て去ること、あるいは捨て去られること。人は、何かを得ると、それまで大切だったものも簡単に捨て去ってしまう。そういうことへのアイロニーこそが、この映画の背骨だ。

(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://love-peace.asmik-ace.co.jp/

(C)「ラブ&ピース」製作委員会

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