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『ホーンズ 容疑者と告白の角』

 
       

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作品データ
原題 Horns
制作年・国 2013年 アメリカ
上映時間 2時間
原作 ジョー・ヒル「ホーンズ 角」(小学館文庫)
監督 アレクサンドル・アジャ
出演 ダニエル・ラドクリフ、マックス・ミンゲラ、ジュノー・テンプル、ジョー・アンダーソン、ヘザー・グラハム、デヴィッド・モース
公開日、上映劇場 2015年5月9日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、5月23日(土)~シネ・リーブル神戸 

 

~不条理と闘う根底にあるのは“純愛”~

 

ある朝、起きると、突然、不条理なことが起きる。自分が巨大な虫になっていたというのはカフカの小説「変身」。この映画の主人公イグの場合、目を覚ますと角が生えていた…。スティーヴン・キングの息子で“ホラー界の貴公子”と称えられるジョー・ヒルの原作の映画化。


horns-2.jpg恋人同士の甘いささやきから映画は始まる。イグとメリンは、小さな頃から友達同士。一生、添い遂げたいと強い絆で結び合っていた。しかし、ある晩、突然メリンはイグに別れを告げ、翌朝、森の中で惨殺死体として発見される。街中の人達から、容疑者としてあらぬ誹謗中傷を受け、イグは悲しみと絶望でひきこもっていた。そんな中、事は起きる…。
 


horns-3.jpgイグの角は、見える人と見えない人があるだけでなく、相手に本音や秘密を語らせる力があった。イグが病院で角を削ってもらおうとするシーンは応急処置的でユーモアがある。病院の医師や看護婦、ダイナーのウエイトレスまでもが、イグにいきなり内に秘めていた欲望や本音を語り出す姿は、滑稽でもある。そうした突拍子もない告白や行動に戸惑い、驚かされるうちに、イグは角の力を借りて、真犯人を見つけようと決意を固める。


horns-5.jpg角の力は悪に通じている。善と悪との間で引き裂かれながらも、迷うことなく自らの命を賭して、真犯人を捕まえようとするイグの思いの底にあるのは、メリンへの純愛。内に秘めた狂気や暴力性に自分でも恐怖を感じながらも突き進んでいく青年イグを演じるのは、ハリー・ポッターシリーズで人気を博したダニエル・ラドクリフ。魅力的な瞳は暗い影を秘め、内省的で感情を押し殺した表情で好演。


horns-4.jpgイグが、メリンや幼馴染の仲間たちと森や水辺で遊ぶシーンは、『スタンド・バイ・ミー』を思い出させる。大きな木の上にしつらえられた小さな隠れ家のようなツリーハウスがいい。事件の起きた晩は大雨で、総じて曇天の暗いイメージが多いのと対照的に、回想シーンは光と緑にあふれている。十字架のネックレスが恋人たちを結びつける小道具として効果的。


真犯人探しのサスペンスでありつつ、ダーク・ファンタジーの要素が満点。無数の蛇が登場し、妖気あふれる後半の展開に驚かされながらも、ラストは、恋人を想うイグの純粋な愛の力にほろりと泣かされるにちがいない。

(伊藤 久美子)

公式サイト⇒ http://horns-movie.jp

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