原題 | THE GOOD LIE |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1時間50分 |
監督 | フィリップ・ファラルドー(『ぼくたちのムッシュ・ラザール』) |
出演 | リース・ウィザースプーン、アーノルド・オーチェン、ゲール・ドゥエイニー、エマニュエル・ジャル、コリー・ストール、クース・ウィール、サラ・ベイカー |
公開日、上映劇場 | 2015年4月17日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS)ほか全国ロードショー! |
~運命を分けた二つの嘘、
誰もが幸せになれる世界を目指して~
時として「嘘」によって救われることがある。資格がないのに教師と偽って傷付いた子供たちを救う『ぼくたちのムッシュ・ラザール』を撮ったフィリップ・ファラルドー監督の今度の「嘘」は、命懸けでついた嘘によって大切な人を助ける難民の物語である。2000年にアメリカがケニアの難民キャンプから3600人の若者を受け入れた史実に基づいている。彼らは「ロストボーイズ」と呼ばれ、先進国アメリカという自由の国へいきなりやってきてカルチャーショックを受けながらも、誇り高く思いやりをもって生きていく。その純朴なひた向きさは周囲の人々の意識をも変えていく。
イスラム過激派によるテロや反政府組織による内戦など、21世紀に入って過激な殺戮は拡がりを見せている。中東やアフリカや東欧などの紛争地域で一体何が起きているのか、人々はどんな思いで生きているのか、今後どのように展開していくのか。本作のように、内戦で傷付いた子供たちの成長を助ける人々や、厳しい状況を懸命に生きぬく人々を通して、より高い関心が寄せられることを願わずにはおられない。
【STORY】
1983年、アフリカのスーダンで起こった内戦で、反政府組織に家を焼かれ両親を殺されたマメールは、兄のテオと姉のアビタルと他に生き残った村の子供たちと一緒に隣国の難民キャンプを目指す。途中他の難民と合流するが、敵兵に襲撃され多くの人々が殺されてしまう。父親が村長をしていたこともありテオがリーダーとなって子供たちを導いていく。ある日、草むらでマメールが敵兵に見つかってしまい、テオはとっさにマメールの身代わりとなって捕まってしまう。命からがら難民キャンプに辿り着いた時には、姉のアビタルとジェレマイアとポール兄弟の4人となっていた。
13年後の2000年に、アメリカの協力によって難民キャンプから選ばれた若者3600人が全米各地に移住できるチャンスが訪れ、4人も渡米。だが、女性は一般家庭に引き取られるという規則により、マメールとアビタルは引き離されてしまう。マメールとジェレマイアとポールの3人はカンザスシティへ向かい、定住支援センターのキャリー(リース・ウィザースプーン)に面倒をみてもらうことになる。キャリーは先ず、衣食住を世話し職業を斡旋しようとするが、文明社会を知らない彼らは初めて目にする家電や食べ物に戸惑うばかり。さらに、キャリーのような年齢の女性が独身でいることも理解できず、クールに仕事をこなすキャリーをイラつかせる。それでもキャリーは、未知の土地で不安も多い中、協力し合いながら謙虚に生きる彼らの純朴さに心打たれ、次第に放っておけなくなる。
そして数年後、医者になってアフリカの人々を救いたいと思っていたマメールに、ケニアの難民キャンプを一時訪問できるチャンスが訪れる。そこでキャリーがとった行動とは……。
私たちは映画の中で二つの重要な「嘘」を目撃することになる。それは、子供たちだけの必死のサバイバル逃避行の途中で生じた「嘘」と、大人になってからこの身を犠牲にしてまでも助けなければならない恩人のためについた「嘘」である。そんな嘘をつかなくても、誰もが自由に安全に暮せる世の中になってほしいと、心から願う。
この映画を見て次のような映画が頭に浮かんだ。戦場カメラマンの使命感を描いた『おやすみなさいを言いたくて』や、兵士と避難民の双方から悲劇を見つめた感動作『あの日の声を探して』、さらに少年兵にされた子供たちの悲痛な声を物語った『魔女と呼ばれた少女』や『ジョニー・マッド・ドッグ』である。どれも悲惨な状況の中でも、「救い」があることを教えてくれる素晴らしい作品だ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://goodlie.jp/
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