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『ワイルド・スピード スカイミッション』

 
       

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作品データ
原題 Fast&Furious 7 
制作年・国 2015年 アメリカ 
上映時間 2時間18分
監督 監督:ジェームズ・ワン  脚本・製作総指揮:クリス・モーガン
出演 ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジェイソン・ステイサム、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、ドウェイン・ジョンソン
公開日、上映劇場 2015年4月17日(金)~TOHOシネマズ系全国ロードショー

 

~見たことない“超ド級映像”にあんぐり!~

 

WSSM-2.jpg“不可能なミッション”を苦もなくやってのける…「これがアメリカ映画だ」って、いつかのコピーが甦った。大ヒット・シリーズ『ワイルド・スピード』第7作『スカイミッション』。息つく間もないほど全編に散りばめられた見せ場の数々。そのもの凄さたるや…ド派手な作戦をささっと決め「ホンマかいな」と思ううちに鮮やかに決める奴らに惚れ惚れ。ホンマよおやる!


束の間の休息を楽しむトレット(ヴィン・ディーゼル)、ブライアン(ポール・ウォーカー)たち“ワイスピ一・ファミリーの前に最強の敵が現れる。前作で倒した国際犯罪組織のボス・オーウェンの兄デッカード(ジェイソン・ステイサム)。弟の復讐に燃える無敵の男。冒頭、日本で仲間のサムが爆死、圧倒的な強さを見せつけて開巻からスリリングな予感を漂わせる。


WSSM-4.jpgデッカードは元英軍特殊部隊だが、凄すぎて軍でも持て甘し、今は“影”として裏社会で暗躍する。最強の敵を相手に、トレットたちも決死の戦いを挑むしかない。攻撃不能の敵にいきなり奇襲をかける無茶な作戦が始まる。山間部を走る完全装備の車列に空から車ごとダイブするなんて…兵士のパラシュート降下は戦争映画の派手な見せ場だが、車が飛行機から次々滑り落ち、何台もが大空をフワフワ遊泳するとは、まったくの仰天シーンだ。


前代未聞の大胆作戦は影を捕らえるため。“神の目”と呼ばれるシステムを開発した天才ハッカー、ラムジー(ナタリー・エマニュエル)を奪還、味方に引き入れて姿を現さない影をあぶり出すもくろみだった…。


記録的な“メガヒット映画”には必ず「初めて見る」“驚異の映像”がある。活動写真(映画)は本来「絵が動く」驚きが原点。映画史的に古くはD・W・グリフィス『イントレランス』やG・メリエス『月世界旅行』が多くの観客を驚かせた。近年では“見せ物王”スティーヴン・スピルバーグ監督。サメの『ジョーズ』(75年)で度肝を抜いた後、UFO『未知との遭遇』(77年)、宇宙人『E.T.』(82年)、恐竜『ジュラシック・パーク』(93年)などなど、映画少年の見果てぬ夢を次々スクリーンに映し出して圧倒的な人気を博した。


WSSM-7.jpg記憶に新しいところでは、宇宙人襲来の『インデペンデンス・デイ』(96年)、隕石激突=大洪水の『ディープ・インパクト』(98年)、小惑星衝突の『アルマゲドン』(98年)…。映画は進化発展しているとはいえ、びっくり映像=大ヒットの構図は変わらない。  『~スカイミッション』も大筋だけで十分だ。トレットの神業というべきドライビング・テクニックは一段と激しくワイルドに研ぎ澄まされ、何度か手に汗必至の空中ダイブもある。


強いステイサムの相手はこちらも負けない、元人気プロレスラー、ドウェイン・ジョンソン。冒頭、事務所を襲われ病院送りにされるが、最後の決戦にはベッドを抜け出して参戦する。ド迫力の“ヘビー級スター王者決定戦”もまた、ワイスピならではの見ものだ。  ラスト30分、トレットたちの車が市街地を目まぐるしく疾駆し、追いかける敵はヘリコプターにドローン(流行りの無人ヘリ)を駆使、ミサイルまでぶっぱなすのだから危ないことこのうえない。


WSSM-6.jpgこんなにヒーローたちがド派手に暴れまわっても、物語の中心は「家族」というあたりが“ワイスピの精神”か。トレットの恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)、元はFBI捜査官・ブライアンの妻でトレットの妹ミア(ジョーダナ・プリュースター)にブライアンの旧友ローマン(タイリース・ギブソン)、天才的なメカニックのデズ(クリス“リュダクリス”ブリッジス)…。トレットはセリフで「俺たちは仲間じゃない。家族だ」ときっぱりいう。彼らに一番大きな仕事は「家族を守ること」。ホームドラマから最も遠いように見える『ワイルド・スピード』シリーズに、ハリウッド伝統の“家族を守る正義感”が貫かれていたのが不思議でもあった。


WSSM-3.jpgヴィン・ディーゼルとともにシリーズを支えてきたポール・ウォーカーが撮影中、事故死。世界中のファンに衝撃を与えたのは記憶に新しいが、本作ではちゃんと姿を見せ、アクションシーンもある。事故死した時点で映画は85%撮影済みだったそうで、情報ではポールの弟が“代役”を務めたという。ポールが欠けたことで“家族の結束”はより強固になったのかも知れない。ラスト「フォー・ポール(ポールに捧げる)」にスタッフ&キャストの痛切な想いが伝わった。

 (安永 五郎)

公式サイト⇒ http://wildspeed-official.jp/

(C)2014 Universal Pictures

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