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『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』

 
       

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作品データ
原題 Get On Up 
制作年・国 2014年 アメリカ=イギリス 
上映時間 2時間19分
監督 テイト・テイラー
出演 チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ティカ・サンプター、ジル・スコット他
公開日、上映劇場 2015年5月30日(土)~テアトル梅田、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー

 

~数々の伝説に包まれたソウル界のキングを赤裸々に映し出す~

 

JB-2.jpg若い頃はロックのシャウト系のヴォーカルが好きで、女性ならジャニス・ジョプリン、男性ならTOTOの三代目ヴォーカリストだったジョゼフ・ウィリアムス(映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムスの息子なのだが)の声に特に惹かれた。で、このJB(ジェームス・ブラウン)はというと、同じくシャウト系なんだけど、ソウルミュージックにそれほど夢中になれず、ロック・ファンの目からはヴィジュアル的にあのテラテラ感のあるトロンとしたスーツスタイルがどうも許せず…ってことで、ほとんどパスしてしまっていた。今回、本作を観ながら足先でリズムを取っている自分に気づき、驚いた。いつかどこかで何気なく耳にしていた彼の音楽に、懐かしさだけでないもの、時を超えても褪せないある種の力と言えるものを確かに感じたのだった。


JB-3.jpgさて、伝説を描く、伝説の人を演じるというのはなかなか大変なものだろうと思われる。歴史だって、何が真実か、立場を変えると全く違うものになることがあるからで、この映画にしたって、「それちゃうで!」とか「JBの本当の姿を伝えていない」などと言われているのだろうかと想像するのみだが、私個人としては実によくできていると思うし、演じたチャドウィック・ボーズマンに喝采を送りたい。JBの全盛期や熟年期から少年時代にぴょんと時代を飛び越えたりしながら、父や母との確執、音楽的な革新性を追求する向上心、バンド仲間とのいざこざ、成功を収めた者が時に露わにする鼻持ちならぬ傲慢さ、秘かに抱え持っていた孤独などを追っていく。けして美化したりはしない。傍にいたら嫌な面も見せる人だったかもしれない。でも、バンド仲間であり親友でもあったボビー・バードに捧げるように歌う感動的なシーンがあり、これを見た時、ふと思うのだ。母に捨てられ父にも捨てられた少年の、声にならない声が、“帝王”と呼ばれた男の懐深く押し込められてきたことを。


JB-4.jpgキング牧師暗殺の翌日にライヴが予定されていて、黒人暴動をあおるからという理由で当局から中止を勧められたJBだが、断固として敢行。そのライヴで聴衆に「黒人としての誇り」を語る姿も印象的だ。JBの人生を紡ぎつつ、JB自身の歌声によるファンキーなライヴパフォーマンスでも魅了する本作。マイケル・ジャクソンやプリンスほか、JBの影響を受けたミュージシャンは数知れず、そのうちのひとり、ミック・ジャガーがプロデューサーとして名を連ねているのも話題だ。

(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://jamesbrown-movie.jp/

(C)Universal Pictures (C)D Stevens