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『寄生獣 完結編』

 
       

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作品データ
制作年・国 2014年 日本 
上映時間 1時間57分
原作 岩明均『寄生獣』講談社刊
監督 山崎貴
出演 染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、橋本愛、新井浩文、岩井秀人、山中崇、ピエール瀧、豊原功補、大森南朋、北村一輝、國村隼、浅野忠信
公開日、上映劇場 2015年4月25日(土)~TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、あべのアポロシネマ、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ二条他全国ロードショー ※4月24日(金)まで『寄生獣』復讐上映会を特別料金1000円で開催(『寄生獣 完結編』およびセット券提示の方は500円)
 

~本当の“獣”は誰なのか?~

 

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人間に寄生し、人間の姿となって、人間を捕食する寄生生物パラサイトと、右手に寄生生物ミギーを宿す高校生との壮絶な闘いを描いた岩明均原作のSFアクション『寄生獣』。2014年11月に公開された前編の『寄生獣』では、母子家庭に育った普通の高校生、泉新一が、パラサイトに右手だけ寄生され、次々と人間界の事や人間の言葉を覚えていく寄生生物ミギーと奇妙な共同生活を始めるところから、愛する母がパラサイトに食べられた怒りにより、新一がパラサイトと闘う戦士のようになっていくまでが描かれた。人の姿をした他のパラサイトが、人間を捕食する際にグロテスクな姿を見せるのに対し、新一と一心同体のミギーはクリッとした目が印象的で、とてもキュートかつ頼りにある相棒だ。新一と共に、次々降りかかる最強パラサイトとの対決を知恵と勇気で乗り越えていく姿や、新一たちの学校の教師であり、高い知能を持つパラサイト、田宮の中で起こった出産後の心境の変化にも注目したい。
 
 
kiseiju-4.jpg母親の敵討ちをして以来、新一(染谷将太)はパラサイトに復讐し続け、パラサイト側、警察側の両方からマークされる存在になっていた。新一が住む東福山市で、広川市長(北村一輝)によりパラサイトたちの強大なネットワークが形成されていることを掴んだ警察は、特殊部隊を編成し、パラサイトを撲滅すべくアジト化した東福山市庁舎の奇襲を計画する。一方、パラサイトたちを掌握している田宮良子(深津絵里)は人間の子供を生み、自分で育てながら、人間と共存する道を探り始めるのだったが・・・。
 

人間が善でパラサイトが悪という一方的な描写ではなく、人間の中の悪や、パラサイトの中の良心をきめ細かく描き、「本当の“獣”とは誰なのか」と問いかける。人間がパラサイトだけではなく、人間をも殺そうとする一方で、人間の子供を産むことで人間らしい感情や表情が芽生えたパラサイトの田宮が、人間と闘わず我が子を守り抜く。田宮が可能性を探っていた「人間とパラサイトの共生」は夢物語かもしれないが、共生を探る姿勢こそ、今の私たちに一番必要なのではないか。

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浅野忠信演じる最強パラサイト、後藤との最終決戦の地が、放射性物質が放出されている廃墟のごみ処理場というのも非常に意味深い。人間が生み出した最悪の物質という原作の設定から、SFでありながらもリアルさを感じる場面が挿入され、パラサイトの恐怖だけではない恐ろしさが滲む。復讐の鬼と化しつつあった新一を、愛情で救ったガールフレンドの里美(橋本愛)とのエピソードも盛り込まれ、壮絶な闘いを通して大人に成長した新一の姿は本当に清々しかった。人間のありようを改めて考えたくなる、見応え十分の完結編だ。(江口由美)
 
公式サイト⇒http://www.kiseiju.com/
(C) 2015映画「寄生獣」製作委員会