原題 | THE PUNK SYNDROME |
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制作年・国 | 2012年 フィンランド・ノルウェー・スウェーデン |
監督 | J=P・パッシ、ユッカ・カルッカイネン |
出演 | ペルッティ・クリッカ、カリ・アールト、サミ・ヘッレ、トニ・ヴァリタロ |
公開日、上映劇場 | 2015年2月21日(土)~第七藝術劇場、今春、元町映画館、京都シネマ他全国順次公開 |
~生き様を熱く歌いあげる!知的障がい者パンクバンドのロックな日々~
「少しばかりの敬意と尊厳がほしい」「押し付けられるのはごめんだ」。真っ直ぐな歌詞をハスキーボイスで、腹の底からの怒りをぶつけながら歌い上げるのは、フィンランドの知的障害者で結成された4人組パンクバンド、ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト。観客と一体になったライブ風景、意見がぶつかり合う練習やレコーディング風景、メンバーそれぞれのプライベートに密着することにより浮かび上がる素顔など、超クールなパンクバンドの音楽ドキュメンタリーとして見応え十分。そして、映画の作り手も、彼らの音楽に熱狂する観客たちも、知的障がいを個性として受け止めていることが、当然のことながら清々しい。
小さい頃から服の縫い目が気になって仕方がないギター担当のクリッカ。人一倍自由を求め、今の閉塞的なグループホーム生活から抜け出し、好きな女との結婚を切望するボーカル担当のカリ。政治活動にも熱心でカリと同じグループホームに住むベース担当のヘッレ。実家を愛し、片思いの女の子がいるドラム担当のトニ。本当に個性的なメンバーたちが、カメラの前でも常に自分の感情に素直に、怒り、笑い、喜び、ケンカをし、自らの生き様を自作の歌に託す。いいカッコをすることもなく、そのままの自分で社会問題から、大嫌いなフットケアまで、なんでも歌にしていくのだから本当に痛快かつ、他の誰も真似できない。
随所に登場するペルッティ・クリカン・ニミパイヴァトのライブ。彼らのパフォーマンスの力強さや、歌の持つパワーはまさにパンクで、健常者と知的障がい者の垣根などを蹴っ飛ばし、一体になっている。音楽を通じて、周りの意識を変えてきた彼らの日常は、失敗も多いけれど、それも笑っていいのだ。共に笑い、共に歌い、垣根ばかりの世の中を変えていく。そんな力が備わった、そして障がい者ケアのいきとどいたフィンランドらしさも感じるドキュメンタリーだ。(江口由美)
公式サイト⇒http://punksyndrome.net/
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