原題 | Rudderless |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1時間45分 |
監督 | ウィリアム・H・メイシー |
出演 | ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン、フェリシティ・ハフマン、ジェイミー・チャン、セレーナ・ゴメス |
公開日、上映劇場 | 2015年2月21日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、2月28日(土)~シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ ほか全国順次公開 |
~亡き息子が歌いかける、心の叫びと、癒しと~
最愛の息子を亡くしただけでも辛いのに、さらに過酷な現実が両親の肩にのしかかる。
銃乱射事件で息子ジョシュを亡くしてから荒んだ暮らしをしていた父親サムと、父親のいない若者クエンティンが、ジョシュが遺した曲を一緒に歌うことで、それぞれの想いを交差させる。サムは初めて息子の気持ちに向き合い、内向的だったクエンティンはサムを父親のように感じながら徐々に自信をつけていく。どんな悲劇に見舞われても、それでも人生は続く。いつかは現実を受け入れ、辛くてものり越えていかなければ前へは進めない。そんな砕けそうな人々の苦悩と再生を、ハートにダイレクトに響くような歌で綴った感動作である。
本作を監督したのは、『ファーゴ』や『マグノリア』『トランスアメリカ』『サンキュー・スモーキング』など数多くのアメリカ映画で名脇役を演じてきたウィリアム・H・メイシー。ユーモラスなファイスからどことなく気弱な小市民を演じることが多いが、強い印象を残す滋味深い名優でもある。そんな彼が、アメリカでは頻発している銃乱射事件という不幸な出来事により最愛の人を亡くした人を主人公に、歌がもつ力と人間の再生力を優しく謳いあげている。
【STORY】
離婚して息子ジョシュと別れて暮らすサムは、銃乱射事件でジョシュを亡くしてしまう。やり手の広告マンだったが、事件後マスコミに執拗に追われ逃げるように街を出てヨット暮らしをしている。まともに仕事もせずアルコールに頼る日々。そんなサムの元にジョシュが遺したギターや歌詞を綴ったノートやデモCDが届けられる。音楽が得意だったサムに似たのか、ジョシュは作詞作曲をしていたのだ。今までジョシュについて考えることを避けてきたサムだったが、彼が作った歌を歌うことでようやく息子と向き合えるようになる。
ある日サムがライブハウスで思わず人前で歌ったことから、歌を気に入ったクエンティンという若者が一緒に歌わせてほしいと願い出る。最初は頑なに拒んだサムだったが、息子のような存在のクエンティンが気になり一緒に歌い始める。セッションする度に息子と築けなかった絆を深めていく。だが、本当はジョシュが作った歌だということを言い出せず、それがバレてクエンティンの信頼を失うことになる。さらに、ジョシュの死にまつわる重大な秘密が明かされる。
父親役のビリー・クラダックが優しく歌う「Home」や「SingAlong」が心に染みる。事件の悪影響に苦悩しながらも、絶望から這い上がろうとする哀れな父親のやるせなさが涙をさそう。自身もバンド活動をしているというアントン・イェルチンとビリー・クラダックの息の合った共演も見事だ。さらにドラムやベースやギターのバンドメンバーが加わり、まるで父親を通して亡き息子の想いが世界へ羽ばたくように響き渡っていた。
最近サントラに魅了されることが多い。『ANNIE/アニー』『シェフ三ツ星フードトラック始めました』『はじまりのうた』『セッション』『君が生きた証』と、ずっと浸っていたいような世界がそこにはある。
(河田真喜子)
公式サイト⇒ http://rudderless-movie.com/
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