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『フェイス・オブ・ラブ』

 
       

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作品データ
原題 The Face of Love 
制作年・国 2013年 アメリカ 
上映時間 1時間32分
監督 監督・共同脚本:アリー・ポジン
出演 アネット・ベニング,エド・ハリス,ロビン・ウィリアムズ,ジェス・ワイクスラー,エイミー・ブレネマン
公開日、上映劇場 2015年2月28日(土)~シネ・リーブル梅田、3月7日(土)~シネ・リーブル神戸、4月~京都シネマ ほか全国順次公開

 

~偶然から生まれた奇跡のラブストーリー~

 

FOL-2.jpg大人のためのラブファンタジーとして,なかなか良い味が出ている。監督の母が亡父にそっくりな男性を見かけた実話から生まれた作品だという。偶然手に入れた一粒の種を大切に育むようにアイデアを膨らませ,一輪の綺麗な花が咲いたようだ。「何十年も生きてきた人生がある」という台詞があった。スイートな中にほろ苦さを感じさせながら,スリリングなドラマが展開する。失ったものは取り戻したくても取り戻せないが,人生は続く。


FOL-5.jpgニッキーは,結婚30周年に訪れた旅先で夫ギャレットを亡くした。放心したニッキーに2人で過ごした記憶が容赦なく襲いかかるような描写が,その後の彼女の行動に説得力を与えている。5年を経て「もう過去は振り返らない」という心境に漸くたどり着いた彼女の前に過去が立ち現れる。ギャレットに生き写しのトムが姿を見せたのだ。美術館という舞台は,絵画の中から過去が抜け出すイメージを伴う。絵画と映画の親和性が効いている。
 


FOL-4.jpgニッキーは,トムに若い頃のようなときめきを覚え,それに逆らえない。恋に破れた娘サマーには母の顔をして現実と向き合うように諭す。だが,トムには夫に逃げられたと嘘を付いてまで一人の女性として夢を求めた。亡夫の友人で妻を亡くしたロジャーが心配そうに見守っている。彼の前では愛する夫を亡くした妻の表情を保とうとした。嘘を付き通せないと分かっていながら,美しい幻影を手放すまいとする,ニッキーが痛々しくもある。


FOL-3.jpgトムは,10年前に妻が出て行ったとニッキーに話したが,真実かどうかは分からない。ともあれ,画家トムの元妻から“A LIFE”という展覧会の案内が届く。”The Face of Love”(愛の肖像)と題したトムの絵には,彼のニッキーに対する思いが鮮やかに投影されていた。トムは,自分を見詰めるニッキーに愛しさが込み上げ,優しく彼女を受け止める。それが長く続かないことを意識しながら,彼女には告げられない。柔らかい光に包まれる感触がいい。

(河田 充規)

公式サイト⇒ http://faceoflove.jp/

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