原題 | Dior et Moi |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 1時間30分 |
監督 | フレデリック・チェン |
出演 | ラフ・シモンズ,Diorアトリエ・スタッフ |
公開日、上映劇場 | 2015年3月14日(土)~Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル梅田、3月21日(土)~シネ・リーブル神戸、4月~京都シネマ ほか全国順次公開 |
~パリ・コレクション舞台裏に魅せられて~
2012年秋冬オートクチュール・コレクションが開催され,ラフ・シモンズが初めて手掛けた新作が発表される。彼がディオールのアトリエで職人らにアーティスティック・ディレクターへの就任の挨拶をしたのは,その8週間前だった。そこには,ラフ・シモンズの緊張に包まれた不安な姿と職人らの期待と好奇の入り交じった眼差しがあった。NYタイムズのファッション担当者によると,予想外の人選で,当時知名度も高くなかったという。
クリスチャン・ディオールがパリのモンテーニュ通りにメゾンを設立したのは1947年だった。彼のDNAが色濃く,ラフ・シモンズに重圧がのしかかる。彼はラディカルなアプローチで挑みたいと抱負を述べる。伝統を踏まえながら独自性を加える必要がある。デザインを生み出すデザイナーとそれを具体化する2人の職長を初めとする職人らの協同作業が綴られていく。チームで1つの目標に傾注する様子は,他の分野にも通じるものがある。
職人らはディオールの霊が私達の仕事を見ていると言う。実際に霊が存在するようにディオールのナレーションが挿入され,過去からの視線が明らかに感じられる。題名の「ディオール」はブランド,「私」はディオールやラフ・シモンズだ。現在は過去の伝統に支えられて存在しながら,それに安住することなく未来に適合するために変容していく。ディオールのアトリエでは,現在が過去を纏いながら存在し,未来へ続く道を模索している。
ラフ・シモンズは現代アートを渉猟しており,それがインスピレーションの源泉となっている。スターリング・ルビーの絵画をドレスで再現しようとするが,色が多すぎ時間も足りないという壁を越えなければならない。ジェフ・クーンズの「花の小犬」に着想を得て,ショーの会場の壁面を花で埋めようと考える。最後まで諦めない姿勢が清々しく,開幕前の屋上での穏やかな一時が心地良い。ランウェイを行くラフ・シモンズが輝いていた。
(河田 充規)
公式サイト⇒ http://dior-and-i.com/
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