原題 | TRASH |
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制作年・国 | 2014年 イギリス |
上映時間 | 1時間54分 |
原作 | アンディ・ムリガン |
監督 | 監督:スティーヴン・ダルドリー(『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』『愛を読むひと』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』) 脚本:リチャード・カーティス(『ラブ・アクチュアリー』『ブリジット・ジョーンズの日記』『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』等) |
出演 | リックソン・テベス、エデュアルド・ルイス、ガブリエル・ウェインスタイン、マーティン・シーン、ルーニー・マーラー |
公開日、上映劇場 | 2015年1月9日(金)~TOHOシネマズ(梅田・なんば・二条・西宮OS)、OSシネマズミント神戸、ほか全国ロードショー |
~未来を託す少年たちが示す、お金に換えられない気高さ~
世界には私たちの想像を絶する状況下の子供たちが大勢いる。去年公開された『世界の果ての通学路』では、多くの人々の役に立つ仕事に就きたいという夢を抱いて、困難だらけの長い道程を一所懸命通学する子供たちのひたむきさに感銘を受けた。だが、少年兵にされたり、自爆テロに使われたり、あらゆる虐待を受けたり、夢も希望も抱けない子供たちが大勢いることを忘れてはならない。
本作は、昨年ワールドカップが開催され、2016年にはオリンピックも開催されるブラジルのリオデジャネイロが舞台。著しい発展の裏に蔓延する汚職や不正社会を背景に、スラム街よりひどいゴミ捨て場でゴミ拾いをしながら生きる3人の少年たちが主人公だ。ある日、ひとつの財布を拾ったことをきっかけに、警察に追われたり命を狙われたり、瀕死の重傷を負ったりと、とんでもない陰謀に巻き込まれていく。財布の中に秘められた謎が導く未来への鍵とは?
貪欲で腐敗した大人社会のセオリーを打破しようと命懸けで正義を貫く少年たち。その奮闘ぶりを躍動感たっぷりに描いたのは、『リトル・ダンサー』で困難な状況下で夢を実現させようとする少年とその家族の物語を感動的に描いたスティーヴン・ダルドリー監督。少年のひたむきさに周囲の大人たちが変わっていく様子や、ラストに用意された圧巻のバレエシーンに涙したものだ。本作でも、社会の底辺で生きている貧しい少年たちが示す、お金に換算できない気高さこそ、未来に繋がる希望だということに気付かされる。
オーディションで選ばれた主役3人の少年たちは、スラム街に暮らす演技経験のない子供たちだそうだ。私利私欲に走る大人たちを尻目にリオの街を疾走する爽快さこそ、本作の魅力と言えるだろう。他にも、子供たちを助ける神父役に『地獄の黙示録』のマーティン・シーンや、ボンランティア教師役に『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラーが脇を固める。子供たちの勇気ある行動に、元気をもらえる一作。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://trashmovie.jp/
(C)Universal Pictures