原題 | 逆鱗 The Fatal Encounter |
---|---|
制作年・国 | 2014年 韓国 |
上映時間 | 2時間17分 |
監督 | イ・ジェギュ(「チェオクの剣」TV) |
出演 | ヒョンビン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソク、ハン・ジミン、パク・ソンウン |
公開日、上映劇場 | 2014年12月26日(金)~TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、2015年2月7日(土)~元町映画館 ほか全国順次公開 |
~命運を分けた1日に集約された、名君イ・サンの衝撃の秘話~
韓国時代劇も数々あれど、これほどサスペンスフルに展開される作品は初めて。TVドラマ『イ・サン』でおなじみの李王朝第22代国王イ・サン(後に正祖(チョンジュ)と呼ばれる)の、史実である暗殺計画に焦点をあてた映画『王の涙 イ・サンの決断』は、マンネリ化した韓国時代劇の見方を一新する。
韓国の時代劇といえばTVドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』が真っ先に思い浮かぶ。「♪オナラオナラ~♪」の児童合唱の主題歌も懐かしいが、何と言っても、陰謀渦巻く宮廷内で健気に精進するイ・ヨンエの凜とした美しさに魅了されたものだ。その後いくつもの時代劇ドラマが作られてきたが、どれも似たり寄ったりでTVで継続して見る気力が失せてしまった。映画ではイ・ビョンホンの熱演が冴えた『王になった男』が最高だったように思う。
朝鮮王朝歴代王の中でも名君と謳われたイ・サン(ヒョンビン)は、陰謀により罪人とされた父親を祖父王に殺され、次期王として子供の頃から暗殺の危機にさらされてきた。唯一心を許せるのは宦官のカプス(チョン・ジェヨン)だけ。書庫で寝起きするという孤独な識者であったが、勢力争いにも率先して動く文武両道の王だった。1777年7月28日、王の反対勢力が放った最強の刺客ウルス(チョ・ジョンソク)が王の寝所を襲う。史実にもある暗殺計画を基に、独自の解釈で登場人物の背景や人間性を深めながら、事件の24時間前から運命の瞬間までを、刻々と息詰まるタッチで描いた大型アクション時代劇である。
除隊後復帰第一作となるヒョンビンは、それまでのイメージとは全く違う男らしさと聡明さで若き王を演じている。その端正な顔立ちは、陰謀渦巻く宮廷内での微妙なパワーバランスを保ちながら生きる、孤独で繊細なキャラクターを的確に表現。また、王が唯一心を許した宦官をチョン・ジェヨンが演じているが、それまでのエネルギッシュな役とは違って、王を優しく支える忠臣ぶりで存在感を示している。
一番驚いたのは、祖父王の若き後妃ワンデビを演じたハン・ジミンだ。TVドラマ『イ・サン』ではイ・サンが生涯愛した女性ソンヨンを演じて「涙の女王」として人気をはくしたが、今回は一転して、イ・サンの暗殺を画策する敵役を美しく演じている。そして、人さらいの棟梁もまた驚きのキャスティングだ。『悪い男』や『メビウス』などキム・ギドク監督作の常連のチョ・ジェヒョンが、見分けがつかないような老けメイクで、次々と暗殺者を送り込む闇商人を演じ、冷酷で不気味なことこの上ない。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.ounonamida.net/
(C)2014 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.