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『ストックホルムでワルツを』

 
       

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作品データ
原題 Monica Z 
制作年・国 2014年 スウェーデン 
上映時間 1時間51分
監督 ペール・フライ
出演 エッダ・マグナソン、スベリル・グドナソン、シェル・ベリィクヴィスト
公開日、上映劇場 2014年12月6日(土)~シネ・リーブル梅田、12月27日(土)~シネ・リーブル神戸、近日~京都シネマ、ほか全国順次公開

 

~失敗して、傷付いて、苦しんで見えてくる本当の愛~

 

stok-2.jpgスウェーデンの国民的歌手、モニカ・ゼタールンドをご存じだろうか。ブロンドの髪にキリリとした顔立ちの美人で、初めてスウェーデン語でジャズを歌った世界的にも有名なジャズシンガー。本作は、ストックホルムから300kmも離れた田舎町に住むシングルマザーのモニカが、まだ電話交換手をしていた1960年頃から、モダンジャズの巨匠ビル・エヴァンスとアメリカでのセッションが大成功する1964年頃までの、20代のモニカが歌手として大成するまでを描いた感動のサクセスストーリーである。
 

stok-3.jpg歌うことが大好き、歌手として成功したい、幼い娘に寂しい思いをさせてまでも、「母親失格」と父親から非難されながらも上を目指してきたモニカ。父親との葛藤を主軸に、様々な失敗や苦境をのり越え、母親として、女として、ひとりの人間として、ひとつひとつの歌を生きる歌い方ができるようになるまでの紆余曲折を丁寧に描いている。モニカを心配するあまり厳しい言葉を投げかけてしまう父親の思い、困った母親を見守るように寄り添う幼い娘、誰よりもモニカを想いずっと支えてきた「タイプではない彼」。そうした大切な存在に気付いて初めて、モニカの歌は輝きを放ちながら人々の心に深く響いていく。


主演のエッダ・マグナソンは、容姿がモニカ・ゼタールンドにそっくりなだけでなく、シンガーソングライターとして活躍する実力派歌手でもある。今回映画初出演で見事にモニカの青春を生きている。全編に使われているモニカの歌はエッダ自身が歌っている。また、今年公開された『なまいきチョルベンと水夫さん』(1964)を見られた方はお分かりだろうが、シンプルなカッティングにカラフルな色柄のファッションは本作でも目を引く。特にプリント柄が可愛い。さらに、北欧インテリアにも注目してお楽しみ頂きたい。
  


【STORY】
stok-4.jpgストックホルムから300kmも離れた田舎町ハーグフォッシュに住むシングルマザーのモニカは、2年前に離婚して親元で暮らしていた。そして、電話交換手をしながら時々バンド仲間とクラブで歌う日々を送っていた。そんな矢先、ニューヨークで歌うチャンスを得る。意気揚々と渡米したものの、ジャズ本場の洗礼は厳しく、「歌に気持ちがこもっていない!」と避難され早々に帰国。クリスマスに幼い娘に寂しい思いをさせてまでも自分の夢を追いかける娘が気に入らない父親は「母親失格だ!」と厳しく叱責。

stok-550-2.jpgその後、「二度と町には戻らない!」と決意して単身ストックホルムへ。一日も早く娘と一緒に暮らせる家を求めて、パーティーで知り合った映画監督と同棲を始める。娘を迎えに行く際には、自分は町外れで待ち、バンド仲間のストゥーレに迎えに行かせる。さんざん世話になった両親に挨拶もせずに逃げるように娘を連れ去るモニカ。「母親に挨拶もしないのか!」と悲しげに見送る父親。「どうせ反対されるから」と父親を避けるモニカだったが、内心、「誰よりも父親に認めてもらいたい」という強い気持ちがモニカの原動力になっていたようだ。
 

その後、レコード会社との契約も成立し、豪邸を手に入れ、スターダムに乗るかに思われた。だが、「いいなりになる男が一番」と考えていたモニカは男たちに背かれ、また未だ父親に認められるような歌がうたえず心身共に深く傷ついていく。娘を取り上げられてようやく目覚めたモニカは、自分でデモテープを作ってモダンジャズの巨匠ビル・エヴァンスに送る。そうして、再びニューヨークで歌うチャンスがやってくる……。

 



今年のスウェーデン映画は凄い!公開作では『なまいきチョルベンと水夫さん』『シンプルシモン』『100歳の華麗なる冒険』、スウェーデン映画祭で見た『コールガール』『アイスドラゴン』、東京国際映画祭で見た『実存を省みる枝の上の鳩』『ツーリスト』と、どれも忘れられない驚きと癒しと感動を与えてくれた。インド映画の物量作戦には敵わないが、ユニークな内容の満足度では負けてはいない。本作は、今年最後を飾るスウェーデン映画の感動作です。お見逃しのないように!

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://stockholm-waltz.com/

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