原題 | The Hundred-foot Journey |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 2時間2分 |
監督 | ラッセ・ハルストレム |
出演 | ヘレン・ミレン、オム・プリ、マニッシュ・ダヤル、シャルロット・ルボン、ミシェル・ブラン他 |
公開日、上映劇場 | 2014年11月1日(土)~Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国ロードショー |
~フランス料理店vsインド料理店の対決と恋のゆくえを、温かなタッチで描く~
インドのムンバイでレストランを営んでいたカダム一家。その次男ハッサンは、料理の名手である母親に仕込まれ、めきめきと腕を上げていた。ところが、選挙にからむ暴動で、店と母親を亡くし、一家は南フランスの美しい町サン・アントナンへ。ここで再びレストランを開くことにする。しかし、道を隔ててちょうど真向いにあるのは、ミシュランで1つ星を獲得している老舗のフレンチ・レストラン。オーナーのマダム・マロリーが快く思うわけもなく、かくして“壮絶な闘い”の日々が始まるのだが…。
格式にこだわり、気位の高いフランス人、派手な装飾が好きで賑やかなインド人という旧来のステレオタイプがやや気になるけれど、ある意味でそういう図式でないと盛り上がりにくいお話なのだろうなと思う。マダム・マロリーも、インド人のおとっつぁんも、頑固さでは引けを取らない。それぞれにプライドを持っているのだ。そして、料理というエレメントが重要な役割を担ってくる。素材も作り方も味わいも全く異なるフランス料理とインド料理、だが、それぞれの料理にかける情熱が、料理の国境を超えていく。
この映画に出てくる数々の料理、意外にも「ね、ね、美味しそうでしょ?」というアピールをしない。料理に関する他の映画のように、じっくりとカメラが料理をとらえ、これでもか、これでもかというふうに観る者の食欲をそそったりしない。料理はあくまで人間ドラマの引き立て役に徹しているように思える。料理そのものより、その料理を味わう人の表情のほうが印象に残る。例えば、ハッサンがマダム・マロリーのお眼鏡にかなうかどうかの試験科目のように作ったオムレツ、それを味わう彼女の驚きの顔。私たちはそれを見ることで、ハッサンのオムレツの味を想像し、思わずごくりと唾を飲み込むのだ。
母親から教えられたスパイスを用いて料理技術を認められたハッサンがマダム・マロリーの店で働き始めるあたりから、ハッサンが恋心を抱く副シェフのマルグリットとの関係が怪しくなる。彼女に芽生えたライバル意識というものをきちんとすくい取って、ラストへと繋げた展開は巧い。『仕立て屋の恋』が印象的だったミシェル・ブランが脇役で出ているのも、映画ファンには見逃せない。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://www.disney.co.jp/movie/spice.html
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