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『ファーナス 決別の朝』

 
       

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作品データ
原題 Out of the Furnace 
制作年・国 2013年 アメリカ 
上映時間 1時間56分
監督 監督・脚本:スコット・クーパー 製作:レオナルド・ディカプリオ、リドリー・スコット
出演 クリスチャン・ベール、ウディ・ハレルソン、ケーシー・アフレック、フォレスト・ウィテカー、ウィレム・デフォー、サム・シェパード、ゾーイ・サルダナ
公開日、上映劇場 2014年9月26日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー

 

~静かなる男が、悪を絶つために立ち上がる時~

 

furnas-1.jpg役作りのためなら激やせ激太りもいとわないクリスチャン・ベールが、珍しく“普通の人”を演じている。 レオナルド・ディカプリオやリドリー・スコットという大物がプロデュースし、個性派俳優のウディ・ハレルソンやウィレム・デフォー、フォレスト・ウィテカー、サム・シェパードなど、超大作風のビッグネームが揃った中、カリスマ詐欺師でもなければスーパーヒーローでもない、ましてやサイコ殺人鬼でもない、家族のために地道に働く善良な小市民を不思議なくらい好演している。こんなC・ベールを見たかった!それでも、持ち前の存在感は、いつか爆発させるかも?という緊張感をみなぎらせて、見る者をスクリーンに釘付けにする。
 


 【STORY】
furnas-4.jpgペンシルベニアの田舎町ブラドックは、常にファーナス(溶鉱炉)から立ち上る白煙に覆われていた。そこで働くラッセル(クリスチャン・ベール)は、寝たきりの父親の面倒を看ながら、イラク戦争で心的後遺症を負った弟ロドニー(ケーシー・アフレック)を優しく気遣い、恋人リナ(ゾーイ・サルダナ)との関係も順調で、ささやかだが平穏に暮していた。ところが、ある晩飲酒運転で大事故を起こしてしまい、そこから幸せが音を立てて崩れ始める。

ラッセルが刑務所へ収監されている間、父親は亡くなり、リナは他の男と暮らし始め、弟は抑えられない衝動からファイティング・マネーゲームに走ってしまい、危険な賭け試合へとエスカレートさせていく。そして……。
 


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クリスチャン・ベールは子供の頃から世界的に大活躍してきたイギリス出身の俳優だが、『太陽の帝国』('87)『アメリカン・サイコ』('00)『バットマン ビギンズ』('05)『ザ・ファイター』('10)『アメリカン・ハッスル』('13)など、強烈な
イメージの役が多かった。本作では、大切な家族を失い、怒りと悲しみを心の奥深くに秘めながら復讐へと向かう、冷静な男を演じている。彼に静かに寄り添う叔父(サム・シェパード)がまたいい。二人は仲のいい狩り仲間で、狙った獲物を必ず仕留めるという腕前が、後のシーンで活かされてくる。

製鉄業の斜陽が叫ばれて久しいペンシルベニア州の地方を舞台に、普通の人間が超法規的行為に及ぶその過程を情感豊かな映像で綴って印象深い。決して激昂して暴力的になるのではなく、自らの悲運を断ち切るように前へつき進む男の背中には、ジョン・フォード監督の西部劇に登場するような心優しい男たちの哀愁が漂っているようだ。

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://furnace-movie.jp/index.html

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