『記憶探偵と鍵のかかった少女』
原題 | MINDSCAPE |
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制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間39分 |
監督 | ホルヘ・ドラド |
出演 | マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、ブライアン・コックス、サスキア・リーヴス、リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー、アルベルト・アンマン他 |
公開日、上映劇場 | 2014年9月27日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都、他全国ロードショー |
~見たこと、聴いたこと、覚えていること。すべてを疑え!真実はその先だ~
タイトルから、本年すごく面白かった映画の一つ『鑑定士と顔のない依頼人』を連想してしまったが、こちらもさまざまな趣向を凝らしたサスペンスである。“記憶探偵”などという前代未聞の職業、それはいかなるものであるかというと、依頼人の記憶に入り込んで問題解決にあたるのである。もちろん、フィクションの世界の職業だが、日本でいえば、神がかり的になって前世のことを導きだしたり、亡くなった人と会話したりする巫女あるいは口寄せに近いところがあるかもしれない。ただ、もっとSF的で、キーワードは“記憶”である。記憶とは厄介なものなのだ。同じことを記憶しているはずが、人によって全く異なるというケースは多々ある。そういうことが、この映画でも大きな謎を呼び寄せる。
禿げあがった頭に無精ひげ、眉間に深いしわを刻んだその男ジョン・ワシントンは、他者の記憶に潜入できるという特殊な能力を持つエキスパートだ。ある日、上司から新しい仕事を依頼される。資産家の娘アナが絶食を続けているため、彼女の記憶に入り込んで原因を追究し、そのトラウマを解放してほしいというのだ。数々の凶悪事件にも関わってきたジョンにとって、呆れるようなイージーな仕事に思えたのだが…。
IQがずば抜けて高く、一筋縄ではいかない16歳のアナ。彼女の記憶の中で、ジョンは癒しがたい彼女の心の傷を強く感じるのだが、アナを取り巻く現実世界の人々は全く違うことを語る。何が真実なのか。記憶とはいったい何なのか。ジョンとともに、私たちも五里霧中の彷徨を余儀なくさせられる。救いを求めているような美しい少女のまなざし、解答を突きつけるラストでも、それは印象として残り続けるのだが、わりあいに明快な終わり方だ。事件が解決し、物語が終わっても、放置されている謎を求めるのは少々欲ばりかもしれないけれど。
アメリカ映画ではあるが、スペイン出身の気鋭の監督によるスリリングな語り口と、35㎜フィルムで撮影された深みのある映像を楽しんで!
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://kiokutantei.asmik-ace.co.jp/
Stills photographs by Quim Vives - Copyright © 2013 OMBRA FILMS, S.L. – ANTENA 3 FILMS, S.L.U. – MINDSCAPE PRODUCTIONS, S.L. – THE SAFRAN COMPANY - OMBRA FILMS, LLC.