原題 | FRANCES HA |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ |
上映時間 | 1時間26分 |
監督 | ノア・バームバック |
出演 | グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン他 |
公開日、上映劇場 | 2014年10月4日(土)~シネマート心斎橋、京都シネマ、11月~元町映画館他全国順次公開 |
~オシャレでリアル!?27歳非モテ女子のツイてない日常~
軽やかなフレンチポップス風メロディーが流れる中、主人公フランシスが女友達と楽しそうに戯れる。モノクロの映像がニューヨーク、カリフォルニア州サクラメント、パリの風景をテンポよく映し出し、ヌーヴェルバーグ時代の映画を観ているような気分にさせてくれる映画かと思いきや、あれ、あれれ・・・。どうも人生の歯車がズレて、何をやってもうまくいかないフランシスが、とんでもなくイタいキャラクターに見えてくる。監督は『イカとクジラ』のノア・バームバック。恋に仕事に友情にと奮闘する非モテ女子の成長物語に、ハラハラドキドキしながら見入ってしまう。
大学時代からの親友ソフィー(ミッキー・サムナー)とルームシェアをしながら、プロのダンサーを目指しているバレーカンパニー研究員のフランシス(グレタ・ガーウィグ)。彼氏から同棲を切り出されたものの、ソフィーを理由に断ったフランシスだったが、ソフィーが別の場所で新しくルームシェアすることを考えていると知り愕然とする。彼氏ナシ、家ナシとなり、バレーカンパニーの公演メンバーからも外されたフランシスは、それでも夢に向かって突き進もうとするのだったが・・・。
いつまでも夢を追いかけてばかりはいられない27歳という微妙な年齢の女子が直面する現実は、なかなか厳しい。結婚、出産する人もいれば、仕事に邁進する人、そしてフランシスのようにアルバイトをしながら夢へのチャレンジを続けている人もいる。それぞれが人生の主人公となり、自分の人生を模索していかなければならない。それは一方で、相手の人生を変に羨んだり、気に留めたりしすぎない独立した自分であることが求められる。その点、フランシスは親友ソフィーのことが気になって仕方がない。そんなフランシスが周りに巻き起こす波紋やズレが、台詞や役者たちの作り出す間合いの隅々から感じられ、笑えたり、ズキリと胸に刺さる。
今から振り返れば若気の至りと言えるような思い込みの激しさや、友情の押し売り、自分を客観視できないことなど、女子的「あるある」がてんこ盛り。おまけに、急いでいるときほどコケて流血騒ぎになるところまで盛り込まれる周到さはまさにグッドジョブ!傷だらけになったからこそ自分の殻を破ることができたフランシスが、最後は本当に愛おしくなる。音楽センスも抜群の異色ニューヨークリアルライフだ。(江口由美)
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