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『So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ~』

 
       
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作品データ
原題 So Young
制作年・国 2013年 中国 
上映時間 2時間12分
原作 シン・イーウー『致我們終將逝去的青春』
監督 ヴィッキー・チャオ
出演 マーク・チャオ、ハン・ギョン、ヤン・ズーシャン、シャン・シューイン、リー・ウェイジュアン
公開日、上映劇場 2014年9月13日(土)~新宿シネマカリテ、9月20日(土)~テアトル梅田、今秋元町映画館他全国順次公開
 

~中国発、大学時代の初恋と現在を重ねるほろ苦青春群像劇~

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ここのところアジア映画は初恋映画旋風といった様相で、韓国からは『建築学概論』、台湾からは『あの頃、君を追いかけた』と青春時代の瑞々しい恋に心を馳せたくなるような映画が次々登場している。そして満を持して、中国からウェルメイドの初恋映画が誕生した。監督は『少林サッカー』や『レッドクリフ』シリーズの人気女優、ヴィッキー・チャオ。大学で本格的に映画製作を学んだチャオ監督は、自分と同世代の主人公が過ごした90年代前半の大学時代の輝ける瞬間と、大人になってからの2つの時代を描き、無我夢中に過ごした青春時代を振り返るラブストーリーを細やかに表現。監督デビュー作にして、昨年度の中国国内映画興行収入第3位の大ヒットを記録した。チャオ監督がこだわったというキャスティングにも注目したい。
 
1990年代前半の中国、幼馴染の初恋相手ジン(ハンギョン)と同じ大学に入ったウェイ(ヤン・ズーシャン)は、ジンが留学してしまったことを知り、入学当日に失恋してしまう。美人のシューイン(シャン・シューイン)や、田舎出身のヤオ(リー・ウェイジュアン)ら女子寮仲間に慰められ、男友達もでき、学校生活に馴染んだウェイは、ある日男子寮で偶然目にした建築模型を触ろうとするが、模型が崩れ落ちると同時に突き飛ばされ愕然とする。自分よりも模型が大事と言い切るシアオチェン(マーク・チャオ)に最初は攻撃ばかりしていたウェイだが、恋心に変わった途端、猛烈アタックを仕掛けるようになり・・・。
 

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まさに韓国恋愛映画の主人公にいそうなテンション高い強気な少女のシューインを演じるチョン・ウェイの恋に対するバイタリティーはお見事の一言。人目を気にせぬアタックぶりが学内の噂となり「女の恥」と非難されるあたりは強烈な男尊女卑の世相が垣間見える場面だが、それでも徹底的にポジティブ思考でいられるのは若さの特権かもしれない。一方、人生設計に1cmの狂いも生じてはならないと、社会で成功するために建築士の勉強に励む堅物のシアオチェンが恋を知り成長すると同時に苦悶する様を人気俳優のマーク・チャオが熱演。想定外の二人が過ごす短くも幸せな時代のエピソードは、誰しも心当たりがある青春の輝きに満ちていた。
 

前半の舞台となる大学女子寮、男子寮は、レスリー・チャン、マギー・チャンら90年代前半中国の若者たちの文化を牽引したスターのポスターがずらりと貼られ、二段ベッドが並ぶ共同生活の古びた感じや、雑多な感じは、どこか懐かしく青春の匂いがする。また学生たちも、事業家の息子もいれば、田舎から親の期待を一身に背負って出てきた成功への野心に満ちた人種までその境遇は様々だ。その後の人生選択にも関わってくる実家の境遇やお金の扱い方、人種の差もエピソードに盛り込まれ、それぞれの人物像に深みを与えている。

 

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大人になった彼らは、それなりに成功を掴みながらもどこか空虚であったり、掴めると信じていた幸せへの道がどこかで見えなくなってしまったり、思うようにはいかない人生の難しさを肌で感じていく。ただ一つ言えるのは、様々な経験を重ねても、心の芯の部分では過ぎ去りし青春の思い出が刻みこまれているということ。日々の喧騒に埋もれて忘れかけていた青春の記憶の扉が開く時、懐かしさと愛おしさがこみあげてくるのだ。94年のウォン・カーウァイ監督作品『恋する惑星』主演であり、青春のワクワクするような恋(『夢中人』)をキラキラと歌い上げたフェイ・ウォンが、本作のエンディングで青春を懐かしむしっとりした歌声(『致青春』)を披露しているのも感慨深い。
(江口由美)
 
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