『グレートデイズ!―夢に挑んだ父と子―』
原題 | The Finishers |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 1時間30分 |
監督 | 監督・共同脚本:ニルス・タヴェルニエ |
出演 | ジャック・ガンブラン,アレクサンドラ・ラミー,ファビアン・エロー |
公開日、上映劇場 | 2014年8月29日(金)~TOHOシネマズ 日本橋、新宿武蔵野館、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、OSシネマズミント神戸他全国順次ロードショー |
~夢を諦めないで希望に向かって進もう!~
父ポールは,ジュリアンが生まれて喜んだが,歩けないことが分かって正面から向き合えないでいた。母クレールは,ジュリアンをずっと育ててきたが,今でもボクちゃんと呼んで庇護の対象としか見えていない。これに対し,姉ソフィーは,ジュリアンと適度の距離感があって,弟の世話を焼くと同時に弟を支えに生きてきた。ジュリアンが18歳になった祝いの席でのソフィーのスピーチと,それに続く絶妙な感覚の間合いが,なかなかいい。
両親は,息子に対して姉が弟に接するように振る舞うことはできないが,息子に対する自らの態度を振り返って修正することはできる。しかし,ポールは相変わらずジュリアンとの接し方が分からず,クレールはそんなポールに不満や怒りを募らせ,夫婦関係に暗雲が立ちこめる。家族崩壊の危機を敏感に感じ取ってアクションを起こしたのは,ジュリアンだ。思えば,ジュリアンこそ,家族の中で輝きを放っており,生きる歓びに満ちていた。
ジュリアンが家族の修復のために考えたのは,ポールと一緒にアイアンマンレースに出場することだった。3.8㎞を泳ぎ,180㎞を自転車で走り,42.195㎞を自分の足で走り,16時間以内に完走すれば,“アイアンマン”の称号が得られる。ジュリアンは,級友らに応援を求めたり実行委員会に乗り込んだりして,夢の実現に向かって道を切り開いていく。家族の状況が要領よく丁寧に描かれているため,ジュリアンの切実な思いがよく伝わってくる。
ジュリアンとその家族が暮らす舞台は,フランスのアヌシー地方で,雄大なアルプスに囲まれている。清らかな空気がスクリーンから漂ってくるようで,美しい自然に生命が育まれていると感じる。そして,レースが進むに従って,父親は息子に心を開いていき,母親は息子の成長に気付いていく。それは,萎れていた花が再び生気を取り戻して咲き誇るようなイメージだ。夢を諦めないで希望に向かって進むジュリアンが活力を与えてくれる。
(河田 充規)
公式サイト⇒ http://greatdays.gaga.ne.jp
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