『LUCY/ルーシー』
原題 | Lucy |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 1時間29分 |
監督 | 監督・脚本:リュック・ベッソン |
出演 | スカーレット・ヨハンソン,モーガン・フリーマン,チェ・ミンシク |
公開日、上映劇場 | 2014年8月29日(金)~TOHOシネマう梅田 ほか全国ロードショー |
~人間の脳が秘めた無限の可能性を体感!~
ルーシーは,マフィアにより薬物であるCPH4を密輸する道具として利用される。だが,大量の薬物が体内に取り込まれるというアクシデントが起き,脳細胞が急速に活性化する。重力に逆らって天井を這い,膨大な情報を瞬時に把握し,体内の組織を随意に変化させる。視覚等の感覚が鋭敏になり,体内に眠っていた太古の記憶が甦ってくる。ルーシーの意思とは無関係に,脳科学者の仮説を超え,人智の及ばない存在へと突き進んでいく。
スカーレット・ヨハンソンは,「her/世界でひとつの彼女」では,人工知能サマンサとして,声だけの演技で人々を魅了した。本作では,言葉には置き換えられない微妙な表情で,あり得ない存在にリアリティを与えてくれた。ルーシーは,身体が霧消して精神のみの存在へと昇華する幻覚に襲われ,驚きや怖れに包まれる。そして,知識の増大に伴って感情が消失していく自身の変化にとまどいながら,これを受け入れて未知へと進んでいく。
ルーシーが変容していく過程は,軽く人智を超えている。普通なら,モーガン・フリーマン扮する脳科学者ノーマンと同様,ただ目を見張って傍観するしかない。これに対し,ルーシーを執拗に追い掛けるチャンというマフィアのボスが,アクセントとして効いている。彼には,韓国映画の「シュリ」,「パイラン」,「オールド・ボーイ」,「新しき世界」等で多彩な顔を見せるチェ・ミンシクが扮し,悪の権化のような存在感を放っている。
人間の脳は10%しか機能していないという前提だ。その上で,脳の活動領域が広がるに連れて,人間の内面がどう変化していくか,そして人間の究極の進化形はどのようなものか。リュック・ベッソン監督は,それを視覚化して映像で表現しようとしたのだろう。過去の知識や経験が積み重なって未来が形作られること,人間の認識できる世界は限られているが,だからこそ人間には未知の可能性があることなどを感じさせてくれる映像世界だ。
(河田 充規)
公式サイト⇒ http://lucymovie.jp/
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