『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
原題 | Paganini: The Devil's Violinist |
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制作年・国 | 2013年 ドイツ |
上映時間 | 2時間02分 PG-12 |
監督 | 監督・脚本・撮影:バーナード・ローズ 製作総指揮・音楽:デイヴィッド・ギャレット |
出演 | デイヴィッド・ギャレット、ジャレッド・ハリス,アンドレア・デック,クリスチャン・マッケイ |
公開日、上映劇場 | 2014年7月11日(金)~TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、TOHOシネマズ西宮OS 他全国ロードショー |
~パガニーニが21世紀にタイムスリップ!?~
ジェノバ生まれのヴァイオリニストで作曲家のニコロ・パガニーニ(1782~1840)の真相に迫る作品が生まれた。彼の人生に大きな影響を与えた男ウルバーニとの出会いから始まる。パガニーニは,才能はあっても,聴衆に理解されていなかった。ウルバーニは,ゲーテ作「ファウスト」のメフィストフェレスのように「輝く未来が待っている」と囁く。演奏の技術が非常に高度で,悪魔に魂を売ったと噂されたパガニーニに相応しい幕開けだ。
パガニーニには,“5億円の名器ストラディバリウスを操る天才ヴァイオリニスト”のデイヴィッド・ギャレットが扮している。パガニーニ作曲「24の奇想曲(カプリース)」を17歳で録音したという。本作でも誤魔化しのない本物の演奏を披露して,耳と目を潤してくれる。まずロンドンのパブでの「Carnival Of Venice」の演奏に引きこまれる。そして,初めてのロンドン公演では「Caprice№24」を演奏しながら客席から登場して観客を魅了する。
パガニーニは,ロンドンでシャーロットの原石のような歌声に魅了される。彼女に扮するのはソプラノ歌手アンドレア・デックで,その歌声が成熟していく様子が描かれ,見事なアリア「Io Ti Penso Amore」に心が洗われる。これは,パガニーニ作曲「ヴァイオリン協奏曲第4番」第2楽章にバーナード・ローズ監督が歌詞を付け,ギャレットがアレンジした楽曲だという。パガニーニとシャーロットの愛のテーマとして使われる,とても美しい曲だ。
ウルバーニが悪魔なら,シャーロットは,グレートヒェンのように,パガニーニに魂の救済をもたらすのか。それを知るためには,ロンドン公演後の展開を見届けるしかない。ローズ監督は,本作品をケン・ラッセルに捧げている。「マーラー」や「トミー」の監督なら,どのようにパガニーニを描いたか,と思いを巡らすのも一興だ。本作品は,“愛と狂気”に視点を据えて,ロックスターのように熱狂されたパガニーニを斬新に描いている。
(河田 充規)
公式サイト⇒ http://paganini-movie.com/main.html
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