『怪しい彼女』
原題 | Miss Granny |
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制作年・国 | 2014年 韓国 |
上映時間 | 2時間5分 |
監督 | ファン・ドンヒョク(『トガニ 幼き瞳の告発』) |
出演 | シム・ウンギョン(『サニー 永遠の仲間やち』)、ナ・ムニ、パク・イナン、ソン・ドンイル、イ・ジヌク、ジニョン(B1A4)他 |
公開日、上映劇場 | 2014年7月11日(金)~TOHOシネマズみゆき座、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS、くずはモール)、ほか全国ロードショー |
~70歳から20歳に若返りしたヒロインをめぐる大騒動と感動の結末~
若い俳優の潜在能力を一気に引き出し、彼または彼女がスターダムにのし上がる契機となる作品がある。シム・ウンギョンにとって、これは、彼女のキャリアをステップアップさせるエポック・メイキング的な映画になったのではないだろうか。『サニー 永遠の仲間たち』や『王になった男』でも注目されたが、本作では、とにかく、光り輝くようなオーラが出まくっている。群を抜く美形というのでなく、どちらかといえば庶民派のカワイ子ちゃんなんだけど、彼女の愛らしさ、おかしさ、大胆さに繊細さ…さまざまな要素が弾けていて、思わず目が釘付けになる。
近所でも評判の、口の悪い頑固ばあさんのマルスンは70歳。息子夫婦や孫と暮らしているが、料理や孫の教育についてあれこれ口を出すため、ストレスいっぱいの嫁はとうとう入院してしまう。そのせいで、マルスンを介護施設に預けようかという話が持ち上がったことを知り、さすがのマルスンも茫然自失。遺影を撮ってもらうつもりで、ふと目に留まった『青春写真館』という名のスタジオに足を踏み入れる。店主に「50歳若くしてあげますよ」と言われて撮影された後、驚くことに、本当に20歳の頃の自分に戻ってしまった!
青春時代にできなかったことに挑戦したり、淡い恋ごころをキャッチボールしたり、と、周囲を巻きこみながら、マルスンの一大騒動記が綴られていく。20歳の容姿に変身したマルスンだが、中身はそのままだから、歩き方や言葉づかいはおばあちゃんそのもの。シム・ウンギョンが老け役も演るのではない、韓国の名優ナ・ムニとの、ちょっと珍しい二人一役の設定だ。シム・ウンギョンは、撮影の合間に先輩ナ・ムニの演技をしっかり観察して、おばあちゃんっぽさを体得したそうで、これが実におかしく、コメディエンヌとしてのシム・ウンギョンの確かな才能を感じる。さらに、口パクでなく、劇中でちゃんと自前の声で歌っていて、これもなかなか良し!また、昔の奉公人で、マルスンへの想いを抱き続けるパク氏というキャラクターがなんともいじらしく、これをパク・イナンが軽妙に演じている。
思い切り笑わせる単なるドタバタ喜劇でなく、貧しい時代に苦労しながら一生懸命に子育てをしてきたオモニたちに心を寄せたくなるエピソードもある。笑いが欲しい、でも、ちょっとしみじみとした余韻の残る映画を観たいという時、ぜひともおすすめしたい。シム・ウンギョンのとびっきりの笑顔と、悪態をつきながらもキュートな“怪しいおばあちゃん”がまぶたに残ること間違いなし。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://ayakano-movie.com/
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