『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』
原題 | Parkland |
---|---|
制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間33分 |
原作 | ヴィンセント・ブリオシ |
監督 | 監督・脚本:ピーター・ランデズマン 製作:トム・ハンクス |
出演 | ザック・エフロン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ビリー・ボブ・ソーントン、ジャッキー・ウィーバー、ポール・ジアマッティ、ジェームズ・バッジ・デール、ジェレミー・ストロング、ジャッキー・アール・ヘイリー、コリン・ハンクス |
公開日、上映劇場 | 2014年6月28日(土)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、7月5日(土)~テアトル梅田、シネマート心斎橋、シネ・リーブル神戸、他全国順次公開 |
~未だに謎が残るケネディ大統領暗殺事件、新たな視点から浮上する真実とは?~
1963年11月22日、テキサス州ダラスで起きたケネディ大統領暗殺事件。犯人とされるオズワルドは逮捕されたものの、数々の謎を残したまま未だに解明されていない。当日事件現場を撮影していた一般市民や地元警察、FBI、CIA、SP、オズワルドの家族、そして、大統領が担ぎ込まれたパークランド・メモリアル病院のスタッフなど、事件勃発から葬儀に至るまでの4日間の変動を、かつてないリアルさで克明に描いた衝撃作。
ジャーナリスト出身のピーター・ランデズマン監督が、今回製作を務めたトム・ハンクスからヴィンセント・ブリオシの原作を渡され、4年間のリサーチを経て完成させたというだけあって、謎の多いこの事件の真相に肉迫している。事件当日の関係者に焦点を当てたことによって、事件の衝撃度やそれぞれの立場や思惑が浮上。今までとは違った視点で事件を見つめた異色作でもある。
豪華キャストによる登場人物に注目してほしい。生地店経営者のザプルーダー(ポール・ジアマッティ)は、新型8ミリカメラで意気揚々と大統領のパレードを撮影していたら、大統領の頭を銃弾が貫通する瞬間を撮ってしまった。その後、彼は二度とカメラを持つことはなかったという。
その日当直だった研修医のキャリコ(ザック・エフロン)と看護師のネルソン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)が勤めるパークランド・メモリアル病院では、VIP緊急搬送の知らせを受けて緊張が広がる。搬送された大統領の無残な姿に誰しもショックを受けるが、絶望的状況でも必死で救命措置を行う。2日後、同じく銃創患者が搬送される。大統領を狙撃したとされるオズワルドが警察署内で撃たれたのだ。皮肉にも大統領と同じ救急処置室で救命措置が行われたが、死亡。事件は犯人死亡のまま解明されることなく片付けられる。
大統領の身辺警護が任務のシークレットサービスにとっては大失態となった。リーダーのソレルズ(ビリー・ボブ・ソーントン)は躍起になって真相を探ろうとするが、地元警察やFBIなどとの情報争奪戦で思うように動けない。大統領の遺体をワシントンに搬送する際の動揺ぶりや現像したフィルムを皆で見てショックを受ける様子から、その衝撃度が伝わってくる。
本作で一番興味深かったのは、オズワルドの兄のロバート(ジェームズ・バッジ・デール)と母親のマーガリート(ジャッキー・ウィーバー)だ。ロバートは、弟が逮捕されたことで思いもよらぬ事態に陥り、安全のためにダラスを出て行くよう勧めらるが、本名を偽ることなく、その後もダラスで暮らした。一方、母親は、息子はスパイとして国家のために貢献したとして悪びれることなく英雄の母親気取りで、取材にもお金を要求する始末。ロバートに比べ、母親と弟のズレ感は歪めないと感じるシーンだ。
この事件は日本にも大きな影響を及ぼした。事件の翌日11月23日は、ケネディ大統領が推進してきた宇宙計画の一環として、人口衛星を使ったテレビ放送の実験が日米間で行われる記念すべき日だった。大統領自ら日本へ向けてメッセージを送る予定だったが、初衛星放送でもたらされたのは「ケネディ大統領暗殺」という衝撃的ニュースだった。冷戦、民主変革、人権問題などに取り組んだ世界が期待した若きリーダーの死は、アメリカだけではなく世界中の人々にとっても大変ショッキングで深い喪失感におそわれた出来事だったのだ。その歴史的瞬間を、50年後のいま、私たちは改めて目撃する。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://parkland-movie.jp/
(C)2013 Exclusive Media Entertainment, LLC