『マレフィセント』
原題 | MALEFICENT |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1時間37分 2D・3D |
監督 | ロバート・ストロンバーグ |
出演 | アンジェリーナ・ジョリー、シャールト・コプリー、エル・ファニング、サム・ライリー、イメルダ・スタウントン、ジュノー・テンプル、レスリー・マンヴィル他 |
公開日、上映劇場 | 2014年7月5日(土)~全国ロードショー |
~切ない裏話と意外な結末を組み合わせた、斬新な“眠れる森の美女”~
幼い頃に読んだ人も多いだろう『眠れる森の美女』。このお話には多様なバージョンがあり、私たちが慣れ親しんだのは、めでたしめでたしで終わるグリム童話の『いばら姫』。だが、ペロー版では、目を覚ました王女と王子は結婚するが、王子の母が人食い鬼で、王女と生まれたその子どもを食べようとして王子が阻止し、人食いの母は自殺してしまうというような、かなりえぐい続きがあるのだ。
さて、「俳優もうやめる」宣言をしたり、それを撤回したりしているアンジェリーナ・ジョリー主演の本作は、眠れるお姫さまでなく、呪いをかけた妖精マレフィセントにスポットを当てたもの。突き出たおどろおどろしい大きな角に、ばかでかい翼、黒いマント様の衣装、鋭く尖った頬骨…。妖精というよりは邪悪な魔法使いのようだが、映画を観ているうちに彼女の哀しみに共感し、やがて、彼女の優しさと出会えるのだ。
この映画で、眠れる森の美女ことオーロラ姫が眠りにつくのは、ずいぶん後のこと。まず、人間界と妖精界の戦いの歴史や、マレフィセントの淡い初恋が描かれる。純な心を持ったマレフィセントが変わるのは、或る裏切り行為が原因である。野望や欲のためには、大切なものを犠牲にしてもかまわないという人間の性(さが)。そして、大事な翼までもぎ取られてしまうマレフィセントの絶望感、かけがえのない思い出を踏みにじられて復讐のチャンスをものにするが、彼女の強さの裏に隠れている優しい母性のようなもの。これらが相乗効果を表して、スリリングなクライマックスと驚くべき結末をもたらす。
どことなくブラックな感触のファンタジードラマとして始まるのだが、ディズニー映画らしいハッピーなエンディングが用意され、ほんわかとした後味。男のえげつない野望(裏の葛藤にはあまり触れられていない)と、女のすべてを赦そうという寛容が二元的に表現されていると感じるかもしれないけれど。
ちなみに、幼少期のオーロラ姫役で、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの間に生まれたヴィヴィアン・ジョリー=ピットが映画デビューを果たしている。また、けだるいテンポの主題歌『Once Upon a Dream』をラナ・デル・レイが歌っているが、日本語版では大竹しのぶの歌声が聴ける。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/maleficent/
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