『ジゴロ・イン・ニューヨーク』
原題 | Fading Gigolo |
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制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間30分 |
監督 | 監督・脚本:ジョン・タトゥーロ |
出演 | ジョン・タトゥーロ、ウディ・アレン、ヴァネッサ・パラディ、リーヴ・シュレイバー、シャロン・ストーン、ソフィア・ベルガラ、ボブ・バラバン他 |
公開日、上映劇場 | 2014年 7月11日(金)~ TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国順次ロードショー |
~都会の中のそれぞれの孤独を、ユーモアと愛おしさで包み込む~
ニューヨークのブルックリン。祖父の代から続いた本屋をたたまざるを得なくなったマレー(ウディ・アレン)は、花屋でバイトをしている友人のフィオラヴァンテ(ジョン・タトゥーロ)にある儲け話を持ち込む。マレーが通っている皮膚科の女医はレズビアンなのだが、男を加えた3プレイを楽しみたい、だれかいないかと相談され、フィオラヴァンテこそ、その役回りにぴったりだとマレーは言うのだ。冗談じゃない、と鼻で笑うフィオラヴァンテだったが、結局はマレーお得意の口先につられ、自身もやがて身を乗り出し…。
ウディ・アレンは今回、演じるほうだけに回ったけれど、本作のテイストは彼の監督作品に似通ったところ大いにあり、と思ったら、脚本にもかなり口を出した(アドバイスしたという言い方もあるが)らしい。舞台はニューヨークだし、背景にジャズは流れるし、演じればついアドリブやっちゃうウディ・アレンだし…ってことで、ジョン・タトゥーロ監督ならではのというのを見つけるのはなかなか難しいのだが、演じているタトゥーロがイイ、実にイイ!ジゴロ役というのが、最初はえ~?と思うのだが、登場する女性たちと同様、得体のしれないそのオーラにだんだんとはまっていき、年輪を重ねた分の渋みとどこかシャイで一本気なところがけっこう素敵だなあと感じ始める。そして、自分では意識していない寂しさなんかを、彼のような存在と共有できたら、きっとすごく安心するんじゃないかという気にさせられるのだ。これこそ、ジゴロの本道!
でも、孤独な未亡人に心底恋しちゃうあたりでは、ジゴロの本道から大いにはずれてしまい、彼はある選択を余儀なくさせられる。しかしながら、ラストシーンで、マレーに問い詰められて複雑な表情を見せるフィオラヴァンテ。その複雑な表情こそが、彼のこれからを語っているようで、ウィットにあふれ、くすりと笑ってしまう可笑しさがあった。都会は冷たく、孤独な人々でいっぱいかもしれないが、ふと胸を温かくさせてくれる一瞬、転機をもたらすチャンスだって転がっているのかもしれない。そんな風に思える、ま、お子サマにはワカラン、大人向けのある意味ロマンティック・ムービーですな。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://gigolo.gaga.ne.jp/
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