『人生はマラソンだ!』
原題 | De Marathon |
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制作年・国 | 2012年 オランダ |
上映時間 | 1時間47分 R15+ |
監督 | 監督:ディーデリック・コーバル 脚本:マルティン・ファン・ワールデンベルク、ヘーラルト・ムーンダイク |
出演 | ステーファン・デ・ワレ、マルセル・ヘンセマ、マルティン・ファン・ワールデンベルク、フランク・ラマース、ミムン・オアイーサ |
公開日、上映劇場 | 2014年6月21日(土)~シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ ほか全国順次公開 |
~家族のため、仲間のため、最後まで諦めない人生~
何が何でも走らなければ! 余命3ヶ月と宣告された男と、現状を打破したいと願う仲間たちがマラソンに挑戦する。オランダは第二の都市ロッテルダムを舞台に、そんな無茶なことに挑んだ男とその仲間たちの涙ぐましい悪戦苦闘ぶりを等身大に描いた『人生はマラソンだ!』が、いま静かな感動を呼んでいる。悲しい内容なのに、なぜか笑ってしまう。どこにでもいそうなオッチャンたちについ共感しては、我がことのように応援してしまう。本国オランダでは30万人を超える大ヒットとなったそうだ。
【STORY】
ギーアは、親から引き継いだ整備工場を、4人の従業員とで営んでいた。といっても、まともの働いているのはエジプト移民のユースだけ。ギーアを始め他はトランプしたりTV見たりビール飲んだりしてさぼってばかり。さらに夕方になるとパブへ直行してサッカー〈フェイエノール〉を応援するという、ゆる~い毎日を過ごしていた。ところが、ある日4万ユーロも税金滞納しているのが発覚。このままだと整備工場は閉鎖、皆失業してしまう!……もっと早く気付けよ!とその危機感のなさに呆れる。
そこからが面白い。かつてはマラソン選手だったユースからスポンサーについて教えてもらうと、早速スポンサー探しに乗り出すが、行きつけのパブのマスターからは「溜まったツケ払ってから言え!」と逆に怒られる始末。他でも全く相手にされない。そこで、会社社長をしているユースの叔父の元へ行き、完走できたら4万ユーロ、できなかったら整備工場を引き渡す、というイチかバチかの賭けに出る。ギーアにとって時間がないのだ。
それからというもの、ユースをコーチ役にマラソンのトレーニングが始まった。普通なら『ロッキー』のテーマ曲にのって軽快に進むところだが、ジョギングさえやったことがないメタボなオッサンたち。そう簡単にはいかない。しかも、それぞれ家庭の事情を抱えて、人生の危機を迎えていた。
病気のことを妻にも息子にも仲間にも内緒にしているギーア。だらだら生きている父親をダサいとバカにしている息子は、学校をさぼりがち。1年前に結婚したレオは、育児放棄して遊び歩いている妻の代わりに、妻の連れ子の赤ん坊の面倒を甲斐甲斐しく看ていた。女っ気のないニコは、スポーツ用品店の“ハンサムな店員”に一目惚れしたことを秘密にしていた。キースは、敬虔なクリスチャンの妻の言いなりで、日曜日開催のマラソン大会への出場に反対されていた。果たして、マラソン大会に出場できるのか?
やる気はあっても上手くいかないトレーニング。何度も諦めかけたり、鍛え合ったり、摂生し合いながら練習に励む姿は、見ているこちらまで鼓舞される。最後まで妻や息子や仲間たちのことを気に掛け、反抗する息子に対しても愛情深く接するギーアの優しさに心打たれる。結果はどうあれ、文字通り必死で走る姿を見せることによって、皆がギーアの思いを受け止める。実際のロッテルダム国際マラソン大会でのロケも臨場感がある。いつもアムステルダムに対抗意識を燃やすロッテルダム魂というか、ゆるそうに生きているオッチャンたちもやる時はやるんだ!という男気が光って、笑って泣ける逸品だ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.zaziefilms.com/marathon/
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