【韓国映画セレクションVol.2】(①『恋愛の温度』 ②『ファイヤー・ブラスト』 ③『トップ・スター』)
制作年・国 | ①『恋愛の温度』(2013年 韓国) ②『ファイヤー・ブラスト』(2012年 韓国) ③『トップ・スター』(2013年 韓国) |
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上映時間 | ①『恋愛の温度』(1時間52分) ②『ファイヤー・ブラスト』(2時間) ③『トップ・スター』(1時間54分) |
監督 | ①『恋愛の温度』監督・脚本:ノ・ドク ②『ファイヤー・ブラスト』監督:チョン・ギフン ③『トップ・スター』監督:パク・ジュンフン |
出演 | ①『恋愛の温度』出演:イ・ミンギ(『恋は命がけ』)、キム・ミニ(『火事 HELPLESS』) ②『ファイヤー・ブラスト』出演:コ・ス(『高地戦』『超能力者』)、ハン・ヒョジュ(『王になった男』、TV『トンイ』)、マ・ドンソク ③『トップ・スター』出演:オム・テウン(『建築学概論』)、キム・ミンジュン(『後宮の秘密』、TV『チュオクの剣』)、ソ・イヒョン、キム・スロ、アン・ソンギ、カン・ソンジン |
公開日、上映劇場 | 2014年4月19日(土)~シネマート心斎橋にて公開 |
①『恋愛の温度』
~相手ばかりを責めず、相手も傷付いていることを思い遣ろう~
男と女は、順調な時は気付かないことでも、別れる時は激しく相手の非ばかりを責めてしまうもの。可愛さ余って憎さ百倍! 本作のドンヒ(イ・ミンギ)とヨン(キム・ミニ)も、別れた途端激しい憎悪がわいてきて、職場が同じこともあって意地悪の応酬合戦となる。職場の仲間やお客にも迷惑をかけてしまう始末。だが、別れてからの方が相手を強く意識していることに気付く。「破局した男女の復縁率は82%、そのままうまくいくカップルはわずか3%」だという。果たして、この二人はその3%に入るのだろうか?
よくある男女のドタバタラブコメかと思いきや、別れと復縁を経ながら二人の関係性が変化していく様を丁寧に描いて、中々見応えがある。それによって二人の問題点が浮き彫りにされ、「なるほど!」と妙に納得してしまうことしきりだ。熟考された脚本に感心すると共に、いつも伴侶への不満ばかりこぼしている自分が相手のことを思い遣っていなかったことに気付き、今さらに反省させられた次第。
それにしても、ドンヒとヨンが繰り広げるイケズ合戦の凄まじいこと! あんなにキレまくって、よく仕事クビにならないもんだ!?
②『ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士』
~思いあがった女医と、心に傷を負った消防士の心のレスキュー・ラブストーリー~
『王になった男』の王妃役や、TVドラマ『トンイ』のヒロイン役などで、透明感のある清純なイメージのハン・ヒョジュが高慢ちきな女医を演じて、その変貌ぶりにびっくり! 片や、相変わらず細マッチョの逞しい体格で誠実な消防士のコ・スが、女医に振り回されるというありがちなラブストーリーだが、対称的な二人の内面の変化と、二人の距離が縮まるエピソードの組み込み方がダイナミックで面白い。
外科医のミス(ハン・ヒョジュ)は自らの診断ミスで停職を命じられるが、納得できないでいた。そこで、重篤となった患者の夫の暴力性を証明して身の潔白を晴らそうと、消防士のガンイル(コ・ス)に証言を依頼する。だが、妻を救えず死なせてしまった過去に囚われているガンイルは、患者の夫に同情し、ミスの要望に応じない。救命士として社会奉仕することになったミスは、ガンイルのいる消防署で一緒に働くことになる。次々と起こる災難事故に、身を挺して救急活動に励むガンイル。そんな彼に次第に心が揺れていくミス。そして、お互い心に抱える重荷を解きほぐすような存在となっていくが……。
③『トップ・スター』
~韓国映画オールスター協力、トップ・スターに上り詰めた男の変貌~
「いつかは自分もスターに!」と野心を抱きながら大スターのマネージャーをしている主人公が、チャンスをつかんで夢を実現させていくが、自分の後には同じような野心を持った若手が追従するという、芸能界の内幕を描いたアメリカ映画『イブの総て』(1950年)の韓国版のような映画だ。
主演男優賞の授賞式に望んだウォンジュン(キム・ミンジュン)は、マネージャーをしながら俳優を目指すテシク(オム・テウン)が考えたスピーチを、そのままパクってしまう。テシクの手柄は自分のものに、自分の落ち度はテシクに尻拭いしてもらう。そんな構図が当たり前のようになっていたが、ある晩、ウォンジュンが起こした飲酒運転による交通事故をテシクが肩代わりしたことから、二人のパワーバランスが壊れ始める。
自らも韓国を代表する名優のひとりパク・ジュンフンが監督しており、『チルスとマンス』や『ラジオスター』などで共演した国民的大スターのアン・ソンギが、彼自身の役で友情出演している。オム・テウンの姉オム・ジョンハも授賞式の司会役で出演。他にも韓国映画界のスターが随所に顔を見せているので、それを見つけるのも楽しみのひとつだ。
(河田 真喜子)