原題 | LABOR DAY |
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制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間51分 |
原作 | ジョイス・メイナード著『とらわれて夏』イースト・プレス刊 |
監督 | ジェイソン・ライトマン |
出演 | ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン、ガトリン・グリフィス、トビー・マグワイア |
公開日、上映劇場 | 2014年5月1日(木)~TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ西宮OS、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ二条他全国ロードショー |
~心を閉ざした母に訪れた運命の夏~
「これが人生で求めていた愛だ」と感じさせるケイト・ウィンスレットとジョシュ・ブローリンの情熱を秘めた演技にただただ魅了される。脱獄犯の男を思わず匿うことになってしまった母子が、男と家族のように過ごした5日間。究極の状況の男と女が、お互いを運命の人と思えるような恋に落ち、一生添い遂げたいと決意するのに時間はいらないのかもしれない。
大人になったヘンリー(トビー・マグワイア)が過去を回想する形で、離婚や過去の悲しい出来事で傷つき、ひきこもりがちな母アデル(ケイト・ウィンスレット)をみつめる13歳のヘンリー(ガトリン・グリフィス)の気持ちや、突然現れた脱獄犯フランク(ジョシュ・ブローリン)との交流、そしてアデルとフランクとの愛が描かれていく。スーパーで無理矢理アデルたちの車に乗り込もうとしたフランク。アデルらの自宅に戻り、匿うまでは緊迫した空気が漂うが、到着早々フランクは豆料理を作り、見つかったとき隠蔽罪に問われないよう偽装誘拐のため手足を椅子に縛ったアデルに、その料理を食べさせる。ゆっくりとその料理を味わうアデルの表情が、2人のこれからをすでに予見している。
2日目、フランクとアデル、ヘンリーの3人で桃のパイを作る。3人の手がボールの中で交差し、仲睦まじくもあるシーンだが、このときのフランクとアデルの絡み合うような手は、本当に官能的だ。不格好だけれど、3人の気持ちが一つになった美味しい手作りのパイは、アデルとヘンリーの将来を大きく変えていく。3日目、庭で野球をするアデルは、髪に庭の花を飾り、小花があしらわれたノースリーブワンピースを着て、幸せに包まれた少女のような笑顔を見せる。暗い家に閉じこもり、手の震えがとまらない精神的な緊張感を抱えていたアデルに訪れた幸せの兆し。囚われ人のような生活をしていたアデルを救いだそうとしたのは、くしくも脱獄犯のフランクだった。
アデルを演じるケイト・ウィンスレットの、愛に目覚め、自分の殻から抜け出そうとする姿や、ジョシュ・ブローリンが演じるフランクの、一瞬の愛と、覚悟しながらも自分の心に正直に行動する姿は、抑制が効いた描写ながら深い情熱をほとばしらせ、確かな愛を実感できる。『マイレージ、マイライフ』のジェイソン・ライトマン監督が、1980年代の静かな田舎町の閉鎖的な雰囲気を見事に再現しながら丁寧に紡いだ大人の純愛物語。 “とらわれた”大人たちの葛藤や真の愛への目覚めを思春期の息子の視点で描くことで、一人の女性として幸せを掴もうとする母の姿が、より美しく胸に焼き付いた。(江口由美)
公式サイト⇒http://www.torawarete.jp/
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