『8月の家族たち』
原題 | August: Osage County |
---|---|
制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 2時間1分 |
原作 | トレイシー・レッツ(「August:Osage County」で、2008年トニー賞演劇作品賞・ピュリッツァー賞戯曲部門を受賞 |
監督 | ジョン・ウェルズ |
出演 | メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、クリス・クーパー、アビゲイル・ブレスリン、ジュリエット・ルイス、サム・シェパード他 |
公開日、上映劇場 | 2014年4月18日(金)~TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都 ほか全国ロードショー |
~錚々たる役者たちの競演で見せる“愛しさ余って憎さ百倍”~
家族だとか兄弟姉妹だとか、そういう血縁関係ほどコワイものはないと感じることがある。ソリの合わない他人なら、「はい、サヨナラ!」で済んでしまうけれど、血がつながっているだけに、日常的にいくら疎遠になっても、冠婚葬祭などで顔を合わせなければならない。そのうえ、過去に味わったイイこともヤなことも共通体験として記憶されているはずが、それぞれの感じ方や考え方によって、その共通であるはずの体験が、全く異なるものとなって形を変え、それぞれの胸にしっかり刻まれているから厄介だ。これが、いざこざを呼ぶ大きなファクターとなる。
本作を見ながら、そんなことをつらつら考えていた。アメリカ的な要素を作品に濃厚に映し出すというトレイシー・レッツの戯曲(ピュリッツァー賞とトニー賞の両方を受賞)を映画化したものだが、日本だって同じような問題を抱えているなと思う。アルコールやクスリへの依存症、不倫や離婚、ティーンエイジャーの旧世代への反抗と薬物への興味…などなど。そういう社会や家庭の暗部に触れながらも、個性豊かな登場人物たちに観客の心を引き寄せるパワフルな映画でもある。
舞台は、オクラホマ州のオーセイジ郡。ある屋敷の主・ベバリーは、がん治療のための複数の薬で意識がもうろうとしている妻・バイオレットと住んでいる。3人の娘たちはとっくにこの家を離れて暮らしていたが、ある日、ベバリーが行方不明になったため、娘たちやその家族、バイオレットの妹夫婦も駆けつけてくる。しかし、それは、とんでもない波乱に満ちた家族劇の序章だった…。
ストリープとロバーツという、見るからに鼻っ柱の強そうな二人が真っ向から演技の激突!つかみ合い・取っ組み合いの騒動に至る食事のシーンに注目。こういう諍いは実際に悲惨な色合いをにじませるのだが、別の目で見ると、どこか可笑しかったりもする。慣れ親しんだ相手だけど腹が立つ、気持ちはわかるんだけどYESと言えない、そういう意地の張り合い合戦を十二分にご堪能あれ。驚くような事実が暴露された後、エンディングに向けて、一人ひとりが抱え持つ哀しみが、少しずつ愛おしくなってくる。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://august.asmik-ace.co.jp/
(C)2013 AUGUST OC FILMS, INC. All Rights Reserved.