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『ブルージャスミン』

 
       

bluejasmin-550.jpg『ブルージャスミン』

       
作品データ
原題 Blue Jasmine 
制作年・国 2013年 アメリカ 
上映時間 1時間38分
監督 ウディ・アレン
出演 ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、アレック・ボールドウィン、ピーター・サースガード、ルイス・C・K、ボビー・カナヴェイル他
公開日、上映劇場 2014年5月10日(土)~Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、MOVIXあまがさき 他にて全国ロードショー

 

~ゴージャスなセレブから一転、それでも彼女が守り続けようとしたもの~

 

 作家自身とその作品を、積極的に関連づけて批評するというスタンスには、あまり賛同できない。むろん、作家の人生なり考え方なりが何らかの形で作品に投影されているはずではあるけれど、嫌みたっぷりの人間がとてつもなく美しい作品を創り出すことは大いにあるし、逆に、人間的に素晴らしいと言われる人が多くの人々の共感をかちとる凄い作品を生み出すとは限らない…というようなことを思ったのは、またもや新聞でウディ・アレンの“養女”に関する記事を見つけたからだ。ご本人を知らないから、昔からゴタゴタを起こしている彼の人間性についてあれこれ語る言葉は持たないけれど、彼の作品が私は好きだ。人の生を見つめたアイロニーやウィット、こだわりのある音楽の使い方(変わり映えしないという見方もあるが)などにより、ひねりのある短編小説のような粋を感じさせてくれるから。

bluejasmin-2.jpg 今回のヒロイン役、ケイト・ブランシェットはもともと演技派で名高いが、特に女優からプラスアルファを引き出すことに長けているのも、アレン監督の不思議な才だと思う。彼女が演じるのは、ニューヨークから、妹のジンジャーが住むサンフランシスコにやって来たジャスミン。著名ブランドのファッションに身を包み、やはり著名ブランドのバッグを手に持つ彼女だが、実は実業家の夫との結婚生活も資産も失ってしまった身の上。心機一転、生活の変革が必要なのだが、セレブ気質は、そう簡単に彼女から抜け出てくれない。おまけに、昔の因縁のせいで、ジンジャーとの間もすこぶる良好とは言い難く…。

 “セレブ=幸福”という上っ面の図式に対して、「人生なんてそう単純ではないよ」とつぶやいているアレン監督の声が聞こえてくるようだ。姉妹といっても血がつながっていない妹のジンジャーのほうは、お金にも名声にも縁のない庶民派生活で、男性関係でもあれこれと大変だけど、ジャスミンよりも人生を楽しんでいるように見える。セレブ時代に身につけた贅沢志向や虚栄心のせいで、鼻持ちならぬプライドを引きずり、自分は周囲から大事にされて当然だというジャスミンとのコントラストが濃厚になってくる。だが、過去の彼女のある行動が明らかにされ、すべてが空回りしているような、幻影だけを見ているようなジャスミンに次第に悲哀を感じてくる。エンディングは、さらに人の世の儚さを訴えてくるようで、最近のアレン監督作品のなかでは異色の後味だ。

 過去と現在を行ったり来たりしながら語られる物語のなかで、ブランド・ファッションに興味のある人は、ジャスミンが着こなすエレガントなウェアにも注目!虚栄のシンボルの小道具として使われているのだろうが、洗練されたコーディネートや抑えた色づかいは、金髪で長身のブランシェットをより際立たせている。

(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://blue-jasmine.jp/

メイン写真: Photograph by Jessica Miglio © 2013 Gravier Productions, Inc.
サブ1写真: Photograph by Merrick Morton © 2013 Gravier Productions, Inc.

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