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『神様のカルテ2』

 
       

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作品データ
制作年・国 2014年 日本
上映時間 1時間56分
原作 夏川草介著『神様のカルテ2』小学館刊
監督 深川栄洋
出演 櫻井翔、宮﨑あおい、藤原竜也、濱田岳、吹石一恵、市毛良枝、柄本明
公開日、上映劇場 2014年3月21日(金・祝)~全国東宝系ロードショー


~三組の夫婦がみせる不器用でいとおしい愛の形~
 

前作の『神様のカルテ』(11)では櫻井翔演じる、地域医療に従事する青年医師一止の葛藤と成長が描かれ、静かな感動を呼んだ。しかし続編となる本作は、冒頭から一止がやつれきっている。そして宮﨑あおい演じる一止の妻、榛名のささやきが寂しく響く。「私はいつもおいてきぼり。苦しいときに限って私がいることを忘れてしまう」。常に前向きだった一止に何が起きたのか。医療現場での一面だけではなく、一止夫婦をはじめとする三組の夫婦が抱える問題をさらけ出し、前作以上に深い共感を呼ぶ。

松本市の病院で働く一止は、寝る暇も休む暇も惜しみ、急患の世話をし、呼び出しに応える献身的な医師だが、妊婦となった榛名のそばにいられる時間はほとんどない。上司の貫田(榎本明)も長年医療のためにその身を削ってきた男。その病院に一止の大学時代の同期辰也(藤原竜也)が赴任してくる。優秀な辰也の赴任を喜んでいた一止だったが、時間外勤務を全くしない辰也にスタッフからも不満が続出。そんな中、貫田が突然倒れてしまう。

医者という不眠不休のハードワークに追われる職業の主人公たちと、その妻。2人きりの時間を過ごすときが、くしくも死の間際となった貫田夫妻。出産後復帰してから我が子よりも仕事に埋没する小児科医の妻とうまくいかず、子どもを連れて松本にやって来た辰也夫妻。そして温かい榛名の支えでなんとかがんばっている一止夫妻。仕事と家庭のバランスという夫婦の永遠の課題を突き付けられ、それぞれの夫婦がこれでいいのかと自問自答する。本当は子どものことが気になって仕方がなかった妻の気持ちに気付いた辰也が電話で「君は大丈夫か?」と話しかけるシーンがある。シンプルだが責任を押し付けるのではなく、妻を気遣う本当にやさしい言葉は、観ている私の胸にもすっと響いてきた。

榛名は、一止のがんばる姿を見ながら自ら母となって先に進んでいく元気をもらい、一止は貫田から引き継いだ”神様のカルテ”を手に、貫田の情熱を引き継いでいくと誓う。夫がそばにいてくれない、恩師がいなくなったと嘆いていてもはじまらない。相手を信じることで希望の扉が開く。前作に引き続きメガホンを取った深川栄洋監督は、更に成熟度を増した登場人物たちの葛藤を通じて、夫婦や人生の在り方をじんわりと振り返らせてくれた。(江口由美)

公式サイト⇒http://www.kamisamanokarute-movie.jp/index.html
(C) 2014「神様のカルテ2」製作委員会 (C) 2010 夏川草介 / 小学館