『最後の晩餐』
原題 | 分手合約 (英題:A Wedding Invitation) |
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制作年・国 | 2013年 中国・韓国合作 |
上映時間 | 1時間43分 |
監督 | 監督・脚本:オ・ギファン(『ラスト・プレゼント』) 撮影:キム・ヨンホ(『ハーモニー~』『TSUNAMI』) 音楽:イ・ジス(「冬のソナタ」『シルミド』『オールド・ボーイ』) |
出演 | バイ・バイホー(『失恋33天~』)、エディ・ポン(『コールド・ウォー~』『激戰』)、ペース・ウー、ジアン・ジンフー |
公開日、上映劇場 | 2014年3月8日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、元町映画館にて心身満腹のロードショー! |
~優しさと優しさの交差点、口福が呼ぶ幸福~
「ラスト・プレゼント」のオ・ギファン監督が中国人キャストを起用し、大ヒットをとばしたこの作品、韓国映画のテンポの良さに中国の素朴な瑞々しさが加わって、まさに夢の饗宴となった。
チャオチャオ(バイ・バイホー)とリー・シン(エディ・ボン)は高校時代からの恋人同士。二人を結びつけたのはズバリ料理。リー・シンが手作りのお弁当で、頑なだったチャオチャオの心を少しづつ溶かしていった。そして、いよいよゴールイン!というとき、リー・シンのプロポーズをケンもホロロに断ったのはチャオチャオだった。しかし、料理家と陶芸家というそれぞれの夢を胸に、5年後に独身だったらそのときこそ結婚しよう!という“契約”を交わし別れる。この5年間のことは終盤まで語られないのだけれど、それを知る唯一の鍵となるのがチャオチャオの親友でゲイのマオマオ(ジアン・ジンフー)なのだ。
日本のテレビ界でもオネエ枠が確立して久しいけれど、映画や海外ドラマのなかで欠かせないのはゲイの存在。彼らは女っぽくても女装はしない。そしてとびきりのイケメン。グチも聞いてくれて、食事や買い物にも付き合ってくれて、傍目にはカップルに見えるからパーティのエスコートもおてのもの。そして、別れる心配はないときているのだから、これはもう最強である。経済力はないけど、手料理にマッサージ、何でも言うことを聞いてくれる年下の男の子に癒されたいキャリア女性が急増した時代があったけど、いまなら断然こっちに軍配が上がりそう。
冷たくリー・シンをソデにしたチャオチャオだったけれど、料理を盛る器作りに精進したことこそが愛の証。なんせ料理と器は切っても切れない関係なのだから。ところが、ここにきて手強いライバルが出現!さて、二人の未来は?
原題は「分手合約」。このタイトルにこそ作品の雰囲気が凝縮されている。読み方はわからなくても漢字が意味を伝えてくれるから、日本人の私たちにもしっくりくる。リー・シンが出場する料理王決定戦で競う4つの味、酸・辛・苦・甘。これを恋に例えるとよりわかりやすい。財津和夫氏も歌っている♪恋の喜びは愛の厳しさへの架け橋に過ぎない♪と。だけど、この順番が甘酸っぱい恋から辛く苦しい愛へ、ではなく、酸味から始まって甘味で終わっているところにご注目。そう考えると、切ない涙もあたたかな涙に変わる気がするのだ。
(山口 順子)
公式サイト⇒ http://www.bansan-movie.com