『はじまりは5つ星ホテルから』
原題 | Viaggio sola |
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制作年・国 | 2013年 イタリア |
上映時間 | 1時間22分 |
監督 | マリア・ソーレ・トニャッツィ |
出演 | マルゲリータ・ブイ、ステファノ・アコルシ、レスリー・マンヴィル、ファブリツィア・サッキ、ジャンマルコ・トニャッツィ、アレッシア・バレーラ |
公開日、上映劇場 | 2014年2月1日(土)~Bunkamuraル・シネマ、2月15日(土)~梅田ガーデンシネマ、3月1日(土)~京都シネマ、近日~元町映画館 他全国順次公開 |
~本当の贅沢とは? 人生という旅でふれあう温もりを求めて…~
目が覚めればそこは風光明媚な景色が広がる豪華ホテル。高級感あふれる家具や調度品に、行き届いたサービス。ポーターは荷解きから荷造りまでしてくれ、客の気分に合わせて飲み物や音楽を用意してくれる。まるで王侯貴族にでもなったような気分だ。世界中の5つ星ホテルに滞在し、そのサービスをチェックする覆面調査員という仕事があるそうな。実に羨ましい職業である。
だが、出張が多く、家族や恋人の理解がなくては続かない仕事だという。しかも、いつも他人のふりをして、豪華ホテルのキングサイズのベッドにひとり、300項目に及ぶチェックリストとにらめっこの日々。そんな40歳で独身のイレーネが自分の人生を見つめ直す大きな出来事にぶつかった時、どんな選択をするのか? 人生の中間地点ともいうべきアラフォー女子ならずとも、生きる歓びや幸せについて改めて考えさせてくれる、目にも心にも優しい映画だ。
劇中チェックされるホテルはすべて実在の5つ星ホテルばかり。パリの「オテル・ド・クリヨン」に始まり、トスカーナの「フォンテヴェルデ・タスカン・リゾート&スパ」やマラケシュの「パレ・ナマスカ」やベルリンの「ホテル・アドロン・ケンピンスキー」など7つのホテルが登場。1泊10数万円以上という庶民には手の届かない5つ星ホテルに、厳しく切り込むイレーネの仕事ぶりは、見ているだけで小気味いい。
【STORY】
40歳になるイレーネ(マルゲリータ・ブイ)は、人生の9割を高級ホテルで過ごし、自由な生き方を満喫している独身貴族。仕事からローマに帰ると、音楽家の妹シルヴィア(ファブリツィア・サッキ)夫婦に二人の姪っ子がいる家か、今では大親友となった元婚約者のアンドレア(ステファノ・アコルシ)の家でくつろいでいる。ふらっと来ては勝手なことばかり言って、家族一体を重んじるシルビアをイラつかせる。いつまでも優しいアンドレアには愚痴ばかりこぼしている。
そんなアンドレアに恋人ができて、しかも妊娠したという。子供を産むという恋人にビビってイレーネの滞在先にやってきたアンドレアに、仕事優先のイレーネは真剣にとりあわない。シルビアとも「何でも偉そうに決めつける」と言われてケンカ別れしてしまう。ベルリンのホテルで知り合ったケイト(レスリー・マンヴィル)という人類学者に、「ここに真の人生はない。真の贅沢とは生をまっとうする歓びであり、人と触れ合うことだ」と言われ、それまで「自分は自由な人間で、人よりいい人生を送っている」と思っていた自分にハッとする。しかも、ケイトの急死で、より一層孤独感に襲われる。
人生なんて終えてみなければ、良かったかどうかなんて分からないもの。いくら巨万の富を得ようと、王侯貴族のような暮らしをしようとも、それなりのリスクは付きもの。ましてや、喜びや悲しみを分かち合える人もいなければ、触れ合う温もりも感じられないなんて、さみし過ぎる。それより、自分らしさを大切にし、家族のため一生懸命働ける日々を送れる方が、どれほど幸せか知れない。幸せの感じ方は人それぞれ。何にもとらわれず、自由きままに暮らせることを望む人もいれば、競争社会で勝ち抜くことを生甲斐にする人もいるだろう。人生はよく旅に例えられるが、心のおもむくままにどの方向へ行くかは自分次第。そして、幸せに感じられるのもまた自分次第。他人と比較して決めるものではないのだ。 さあ、人生という旅はあなた自身のものです、ボン・ボヤージュ!
(河田 真喜子)
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