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『メイジーの瞳』

 
       

maisie-550.jpg『メイジーの瞳』

       
作品データ
原題 What Maisie Knew
制作年・国 2012年 アメリカ 
上映時間 1時間39分
原作 ヘンリー・ジェイムズ
監督 スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル
出演 ジュリアン・ムーア、アレキサンダー・スカルスガルド 、オナタ・アプリール、ジョアンナ・ヴァンダーハム 、スティーヴ・クーガン
公開日、上映劇場 2014年1月31日(金)~TOHOシネマズシャンテ、シネマライズ 大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国順次ロードショー

 


~子供の瞳に映る世界は、もっとシンプルで生きやすいはず~


 

 子供の正直な目にはかなわない。いくら言葉や物で虚飾を張っても、子供には心にダイレクトに響くものしか映らない。その分ものごとの本質を見抜いている場合が多い。本作は、メイジーの瞳に映る大人たちの身勝手で愚かしい様を、終始子供目線で捉えて、新鮮な感覚で人間社会を見直せる。さらに、大人たちの孤独や悲哀を繊細に受け止めるメイジーが、子供ながらも大人たちを気遣いつつ、自然な流れで人を結び付けている。大人は子供の面倒をみているようでも、実は正直な心を持つ子供に見守られているのかもしれない。そんな気がしてきた。

 メイジーを演じたオナタ・アプリールが素晴らしい! 泣き上手な子役や表現力豊かな子役は大勢いる。だが、まだ幼く頼りなげなたたずまいに、素人のような自然体での反応、その表情に演技を全く感じさせない。身勝手な両親に振り回され拠り所のないメイジーに、完全になりきっているのだ。母親を演じたジュリアン・ムーアも「役を生きている」と絶賛。大人たちの心の隙間を埋めてくれるような、そんな愛らしいメイジーに出会える奇跡のような映画だ。


 【STORY】
 maisie-2.jpg メイジー6歳(オナタ・アプリール)。ロック歌手の母スザンナ(ジュリアン・ムーア)とアートディーラーの父ビール(スティーヴ・クーガン)の3人でニューヨークに暮らしている。忙しい両親は顔を合わせればケンカばかりで、メイジーの世話はもっぱらシッターのマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)まかせ。とうとう離婚してしまった両親だが、すぐにビールはマーゴと、スザンナは若いバーテンダーのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルト)とそれぞれ再婚する。メイジーは10日おきに両親の家を行ったり来たり。

 両親はメイジーに「愛してる」という言葉を連発しながらも一緒に過ごす時間はない。またもや再婚相手にまかせっきりになる。身勝手なスザンナとビールに愛想を尽かしたマーゴとリンカーンはそれぞれ二人の元を去り、またしても離婚してしまった両親。同じ立場のマーゴとリンカーンは優しくいたわり合う。メイジーはそれを見守るように二人と一緒に暮らし始める。他人の二人だが、メイジーにとってはやっと訪れた平安の日々だった。

  


  

 

 家族って何だろう?血はつながってなくても、思いやる気持ちや愛おしいと感じられたら一緒に暮らしていけるような気がする。実の親はそれぞれの仕事を優先し、勝手な理屈をつけては子供をないがしろにしてしまっている。また、面倒見のいいマーゴと優しいリンカーンが、メイジーの両親のせいで傷付くと、そっと寄り添う優しさを見せるメイジー。誰が誰をどんな思いで見ているのか、メイジーにはすべてお見通しのようだ。

 リンカーンを演じたアレキサンダー・スカルスガルドは、今後注目のスウェーデン出身の若手俳優。背の高い大男が、小さいひょろっとしたメイジーの手を引き、ニューヨークの街を歩く後姿がなんとも微笑ましい。無味乾燥な都会を彩るメイジーのカラフルな服装にも注目。

 

 

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://maisie.gaga.ne.jp

 

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