『エンダーのゲーム』
原題 | Ender’s Game |
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制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間54分 |
原作 | 原作・脚本・製作:オースン・スコット・カード |
監督 | 監督・脚本:ギャヴィン・フッド(『ツォツイ』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』) |
出演 | エイサ・バターフィールド、ヘイリー・スタインフェルド、ベン・キングズレー、ヴィオラ・デイヴィス、アビゲイル・ブレスリン、ハリソン・フォード |
公開日、上映劇場 | 2014年1月18日(土)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー |
~敵もまた生存できる方法を探るエンダーの優しさに感動!~
日本のアニメ、コミック、ゲームに多大な影響を与えたというアメリカのSF小説『エンダーのゲーム』。1985年に長編小説が発行されて以来、何度か映画化の企画がされては頓挫してきたハリウッドでも伝説の物語である。今までは複雑な物語構成と技術的問題で実現できなかったが、今回原作者のオースン・スコット・カード自らが製作に乗り出し、ギャヴィン・フッド監督と共同で脚本を手掛けて完成にこぎつけた。しかも、あの『スター・ウォーズ』のハン・ソロ役で一躍大スターとなったハリソン・フォードがエンダー少年を指導する役で出演しているのは、SFファンには嬉しいことだ。
【STORY】
近未来の地球。大型昆虫のようなエイリアンに襲撃された地球は、絶滅寸前のところをある一人の兵士の活躍でかろうじて防衛した。その後、再襲撃に備え世界中から天才児だけを集めたバトル・スクールを設立し、バトル・コマンダーの英才教育を始めた。それから20年、国際艦隊の長官グラッフ大佐(ハリソン・フォード)は救世主となるべき新世代の少年を探していた。そして、一人の少年に着目する。それは、ウィッキン家の3人目の子供、10歳のアンドルー・エンダー(エイサ・バターフィールド)だった。
少子化政策のため一家に2人しか産めないところを、ウィッキン家では特別に3人目を認められて産んだので、“エンダー”と名付けられていた。エンダーは自分のことを「不要な子」「愛されない子」と思い悩み、常に孤独と不安を抱いていた。そんな彼を優しく気遣う姉のヴァレンタイン(アビゲイル・ブレスリン)だけが心の支えだった。“エンダー”(終わらせる者)としての使命を果たすべく、バトル・スクールで孤立しながらも天才的頭脳を発揮して頭角を現していく。
孤独でナイーブなエンダー少年を演じるのは、『縞模様のパジャマの少年』や『ヒューゴの不思議な発明』等で、青い瞳で世界を見つめる純粋な眼差しが印象的なエイサ・バターフィールド。そして、『トゥルー・グリット』で大人顔負けの聡明さと勇気を示してアカデミー賞助演女優賞にもノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが、射撃の名手としてエンダーの力強い仲間となっていくペトラを逞しく演じている。優しい姉には、『リトル・ミス・サンシャイン』『ザ・コール』のアビゲイル・ブレスリンが好演するなど、天才子役たちの成長していく姿が楽しめるのも見どころのひとつ。
ナイーブな少年が才能を発揮して、仲間の信頼を得、目的を達成していく。その段階を追った本作は、アクションだけではなく、少年の奥深い精神性にまで掘り下げている。侵略者であるエイリアンに対し、ただ壊滅させるだけの英雄伝に終わらせず、エイリアンも生存できる道を探ろうとするエンダーの優しさに、本作の大きなテーマがある。エイリアンをやっつけるだけではなく、この広い宇宙で共存できるような道を探る努力をすることこそ、今の地球上で起こっている紛争解決につながる何かが含まれているような気がする。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://disney-studio.jp/movies/ender/
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