『キリングゲーム』
原題 | KILLING SEASON |
---|---|
制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間25分 PG-12 |
監督 | マーク・スティーヴン・ジョンソン |
出演 | ロバート・デ・ニーロ、ジョン・トラボルタ、マイロ・ヴィンティミリア、エリザベス・オリン |
公開日、上映劇場 | 2014年1月11日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都 他全国ロードショー |
~憎しみの連鎖を断ち切るための“痛々しい”戦い~
ロバート・デ・ニーロとジョン・トラボルタの二人が、人里離れた山中で追いつ追われつを繰り返しながら殺し合うというスリラーアクション。『ゴッドファーザーPART.Ⅱ』(‘74)で一躍スターダムに躍り出たロバート・デ・ニーロは、世界中の映画人の憧れでもある。彼の徹底した役作りや風格ある演技力は71歳になった今でも健在で、しかも実年齢より若々しく見える。昨年の『マラヴィータ』では、往年マフィアを数多く演じてきたデ・ニーロのキャラを逆手にとったパロディっぽさが可笑しさを倍増させていた。本作が初共演となる11歳下のジョン・トラボルタも彼を目標としてきた俳優のひとりだ。ニューシネマ以降のアメリカ映画界牽引してきた二人の大スターが繰り広げる、戦争の悪夢を引きずる男たちの凄惨な戦いぶりをじっくりとご堪能あれ。
【STORY】
ボスニア紛争から18年後、当時国連軍としてセルビア兵と戦ったベンジャミン(ロバート・デ・ニーロ)は、退役後アパラチア山中にある山小屋でひとり静かに暮らしていた。悲惨な過去を封印するかのように家族とも距離を置き、大自然の中にひっそりと溶け込んでいた。ある日、戦争で痛めた古傷の痛み止めを買いに行く途中、雨の山中を歩いていたエミール(ジョン・トラボルタ)という東欧訛りの男を助け、山小屋に連れてくる。だが、その男はベンジャミンに仲間を殺された元セルビア兵で、復讐のためベンジャミンの住む山へとやって来たのだった。
あのデカい風貌には似合わない高い声のジョン・トラボルタが、今回は東欧訛りで喋るのだから、初っ端からクスッとしてしまった。険しい山の中で二人が交互に優勢・劣勢となって、逆さ吊りにしたり肉体を突き刺したりの拷問まがいのことを繰り返す。あっさり殺すのではなく、相手にいかに苦痛を与えるか、まるでサイコスリラーのような戦いぶりだ。戦争を忘れたいベンジャミンに対し、過去の記憶を呼び覚まして一緒に戦争ごっこしようよ、とでも言っているようなエミールの執拗な行動は、哀れだが滑稽にも見えた。
世界には何らかの状態で戦争を引きずって生きている人は多いと思う。過去を封印しても現実世界で生きられないベンジャミンも、18年経っても復讐に燃えるエミールも戦争の犠牲者であることには違いない。人を憎み、戦い、血を流す。それは決して心の安寧には繋がらず、人間の心を蝕むばかりだ。果たして、ベンジャミンとエミールの決着はどのようにして着けられるのか? 戦争という亡者から脱却することができるのか?
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.killing-game.jp/
(C)2013 PROMISED LAND PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved.