『新しき世界』
原題 | 新世界 New World |
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制作年・国 | 2013年 韓国 |
上映時間 | 2時間14分 PG-12 |
監督 | 監督・脚本:パク・フンジュン |
出演 | イ・ジョンジェ,チェ・ミンシク,ファン・ジョンミン、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ |
公開日、上映劇場 | 2014年2月1日(土)~丸の内TOEI、シネマート新宿、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、2月15日(土)~シネマート心斎橋、2月予定~元町映画館 ほか全国順次公開 |
~組織内で生きる人間たちの哀しみと強さ~
かつて観た3本の映画を思い出させる作品で,これらの要素がうまく融合して相乗効果を発揮している。コールド・ムーンは,表向きは合法的な企業だが,その実体は非合法組織だ。そのトップが不慮の事故に見せ掛けて殺害され,跡目争いが生じ,そこに警察の”新世界プロジェクト”が絡む。「友へ/チング」のような韓国テイストに包まれ,「ゴッドファーザー」のマイケルのように組織内で頭角を現す男イ・ジャソンの選択が描かれる。
彼は,「インファナル・アフェア」の警察官ヤンと同様,長年にわたる潜入捜査で自分を見失っていた。上司のカン課長の指示に従って動いているが,なかなか計画の全体像が明かされないため,組織の歯車の一つに過ぎないとの思いが募る。一方で,組織内では義兄弟のチョン・チョンに対して後ろめたさを感じているようだ。しかも,裏切り者は処理され,妻が妊娠し,連絡役の女性の素性がチョン・チョンに知られ,迷いが膨らんでいく。
カン課長は,跡目争いをするチョン・チョンとイ・ジュングとの間に疑心暗鬼の種を蒔いていた。三つ巴の争いが展開し,それぞれの思惑や心情がスリリングに描かれ,一触即発の緊張感が高まっていく。その中で,ジャソンは,チョン・チョンに正体を知られ,自分が警察官であることを示す資料を全て消されてしまう。そのチョン・チョンがジュングの手下に襲撃されるシーンは,壮絶で,身体だけではなく,心の痛みまで映し出していた。
チョン・チョンは,病室で人払いをしてジャソンと2人になったとき,その思いを吐露する。「この辺で選べ」「強く生きるんだ」と,模造や傀儡ではなく本物になれと言うように彼の背中を押し,”土産”の所在を明かした。その後も,ジャソンはカン課長の指示に従うのか,残された土産をどうするのかなど,興趣は尽きない。エピローグでは,チョン・チョンの不可解な行動やジャソンの人生最大の選択の原点が明らかになって,爽快だ。
(河田 充規)
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