『ファイアbyルブタン』
原題 | Feu par Christian Louboutin, le film 3D |
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制作年・国 | 2012年 フランス |
上映時間 | 1時間20分 R15+ |
監督 | 監督:ブルノ・ユラン 音楽:デイヴィッド・リンチ |
出演 | クリスチャン・ルブタン& Crazy Horseダンサーたち |
公開日、上映劇場 | 2013年12月21日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー |
~光と影が浮き彫りにする官能美…女性こそ感動する〈クレイジーホース〉の魅力とは?~
2012年5月パリを訪れた際、ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督の『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』が近日公開されるというので、〈クレイジーホース〉へ行くことにした。シャンゼリゼ通りからアルマ橋へ向かう途中にある小さなナイトクラブ。女性のヌードショーを見せるキャバレーということで男性の行くところかなと今まで足が向かなかったが、ワイズマンに刺激されて初めて観に行った。それがなんと靴デザイナーのクリスチャン・ルブタン演出の期間限定ショーだったとは、今頃になって気付いた次第!?
実際のショーは、振付家フィリップ・デュクフレによるものとルブタンによるショーとがミックスされたものだった。それを、『ファイアbyルブタン』はルブタン演出、デイヴィッド・リンチの音楽によるショーを中心に、ルブタンの〈クレイジーホース〉への思いや解説を織り交ぜながら完成させたドキュメンタリー映画としてまとめている。勿論、ルブタンのセクシーな靴が活かされるよう、下半身にボリュームをおいているのも大きな特徴だ。あの3D『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』で舞踊の概念を覆した作品で私たちを驚かせたクルーが、再びナイトキャバレーのイメージを変える映像で楽しませてくれる。
初めてステージを観て驚いたのは、ただ刺激的なセクシーさを見せるヌードショーと違い、洗練されたコンテンポラリーダンスを見ているような、ショーアップされたその演出の美しさにひたすら魅了された。それは興奮と嘆息が入り混じるもので、男性より女性が観る方がその官能的な世界を満喫できるのでは?と思ったくらいだ。世界のセレブリティもクレイジーホースに夢中なようで、U2やクリスティーナ・アギレラ、ビヨンセ、カイリー・ミノーグ、ジャン=ポール・ゴルティエ、スティーヴン・スピルバーグ、カニエ・ウェスト、ソニア・リキエル、リーアム・ニーソン、ミシェル・ファイファー等の名前が挙がっている。
ダンサーの殆どがクラシックバレエ出身で、その柔軟な動きは優雅で美しい。身長、肌の色、胸も日本でいうところの「お椀を伏せた位」の大きさで、一番重要とされているぷっくりまぁるい桃尻と、ライティング時の模様の出方を意識してか厳しい基準があるようだ。毎年500人の応募者があり、その内20人しか採用されないというから、クレイジーホースのダンサーになるのはかなりの難関である。今までも様々なアーティストを招いてショーアップすると共に、観客の意識も変えてきた。小さな劇場から生み出されるアートは、観る者を異次元の世界へと誘い、女性の官能美を讃美しているようだ。女性にこそ見てほしい映画だ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://fire.gaga.ne.jp/
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