『地中海式 人生のレシピ』
原題 | Dieta Mediterranea |
---|---|
制作年・国 | 2009年 スペイン |
上映時間 | 1時間40分 |
監督 | ホアキン・オリストレル |
出演 | オリビア・モリーナ、パコ・レオン、アルフォンソ・バッサベ、カルメン・バラゲ、ロベルト・アルバレス、ヘスス・カステホン |
公開日、上映劇場 | 2014年1月中旬~梅田ガーデンシネマ、順次~京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開 |
~破天荒なお話の中に見る“女は女らしくなんて、ぶっとばせ!”~
その昔、“ワタシ作る人、アナタ食べる人”などというCMがあって、フェミニスト達の反感を買ったものだが、家庭でなくプロの厨房は、今もあまり変わらず男の世界である。女性のシェフも少しずつ増えているだろうが、圧倒的に男性のほうが多い。女性の地位がまだまだ低い日本だけでなく、この映画で描かれるスペインでも同じことのようで、だからこそ、ヒロインの頑張りに共感したくなる。
バルセロナの海外沿いの小さな町。ヒロインのソフィアは食堂を経営する両親のもとに生まれた。幼い頃から料理に目覚め、「いわしとチョコレートのサンドイッチ」(!!)などオリジナル料理を作って客に売るほどだ。もちろん、将来の夢は一流のシェフになることなんだけど、当然の如く、普通の仕事に就いて普通に結婚して…と願う母親とは真っ向から対立。そんな彼女のそばにふたりの幼なじみの男性がいた。堅実タイプのトニ、そして、自由奔放なフランク。ソフィアの人生は、彼らと共に、夢に向かって進み始めるが…。
小さな頃からの夢をけっしてあきらめず、まっすぐ突進し、育児期間にも異国で料理修業しちゃうソフィアの決断力と行動力は並大抵ではなく、それこそ「いつやるの?今でしょ!」的な意志の強さがないと、男の職場で女が台頭していくのは難しいのかなと、ちょっと考えてしまう。しかしながら、この作品の大きな魅力は“地中海式”の明るさだ。勝気なソフィアとふたりの男をめぐる騒動は、ある意味B級的コメディの軽さで笑いを呼びながら、既成モラルの枠をはみ出た三角関係にまで到達する。いいなあ、自分を支えてくれる男がふたりもいて、などと感じる人も多かろうが、これはこれでけっこう大変だと私は思う。人と人との関係は、いつも同じ形を描くとは限らないもの。
映画に登場する料理の数々にもご注目!後半に出てくるスペインの伝説のレストラン「エル・ブリ」に似たような実験的試験管的料理にはあまり食欲を刺激されないけれど、この映画にはバルセロナやカタルーニャなど三つ星レストランのシェフたちが全面協力していて、厨房の場面でのエキストラもプロの料理人だという。料理と恋と人生のエッセンスを楽しんで!
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://actioninc.luna.weblife.me/dieta/
(C)Messidor films Production