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『THE ICEMAN 氷の処刑人』

 
       

iceman-550.jpg『THE ICEMAN 氷の処刑人』

       
作品データ
原題 The Iceman 
制作年・国 2012年 アメリカ 
上映時間 1時間46分
原作 アンソニー・ブルーノ『氷の処刑人』
監督 アリエル・ヴロメン
出演 マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー、ジェームズ・フランコ、レイ・リオッタ、クリス・エヴァンス
公開日、上映劇場 2013年11月9日(土)~新宿武蔵野館、11月23日(土)~シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、12月21日(土)~京都みなみ会館 他全国順次公開

 


~もし、夫が殺し屋だったら!? 実在のヒットマンの表と裏の顔~


 

 実在の殺し屋リチャード・ククリンスキーは、裏社会のヒットマンとして100人以上、いや250人は殺したと言われながら、2件の殺人事件で終身刑を2回も言い渡された男である。それ以外は被害者との関連性や証拠が不十分だったため立件できなかったらしい。死亡時刻を紛らわすため死体を凍らせて処分したので「THE ICEMAN」と呼ばれ、彼の殺人者としての顔は実に淡々としたもので、確実に仕事をこなす勤勉さだったという。何より、1986年に逮捕されるまで、彼が凶悪な殺し屋だということに妻が全く気付かなかったということの方が私には驚きである。

iceman-2.jpg ククリンスキーはなぜ殺し屋になったのか? 無慈悲な殺人を数多くこなせたのはなぜ? 美しい妻と二人の娘に恵まれ、平穏な家庭生活を続けられたのはなぜなのか? 『テイク・シェルター』での地球壊滅を予感しながら神経衰弱になっていく男や、『マン・オブ・スティール』でスーパーマンと戦う悪役などで強烈な存在感を示すマイケル・シャノンが、ククリンスキーの冷酷さと善き家庭人を希求する哀れな男を怪演。逮捕に至るまでの22年間を追った、セミドキュメンタリータッチの凄みある映画だ。実録ものをこれほどの役者をそろえて製作した稀有な作品とも言えよう。

 


【STORY】

iceman-3.jpg 友人とポルノビデオの海賊版を作っていたククリンスキーは、デボラ(ウィノナ・ライダー)にプレゼントを贈り続け、ようやくデートにこぎつける。「君はナタリー・ウッドを可愛くしたような女性だ」などと、ぎこちない口説き方で好感を得て結婚。ある日納期の遅れでトラブルを起こし、ギャングの制裁を受けそうになるが、銃口を向けられても動じない冷静さを見込まれ、ロイ・デメオ(レイ・リオッタ)の下でヒットマンとして働くようになる。最愛の人との結婚生活をより豊かなものにするため、ククリンスキーは凶悪なことを平然とこなしていった。

 二人の娘にも恵まれ、善き夫、善き父親として高級住宅街で平穏な暮らしをしていたが、ある仕事で若い娘を見逃したことからロイの逆鱗に触れ、仕事を干されてしまう。裕福な生活を続けられそうになくなったククリンスキーは、ロイには内緒でアイスクリーム売りをしている殺し屋ミスター・フリージー(クリス・エヴァンス)と組んで仕事をするようになる。ところが、それがロイにバレて、家族にも危害が及ぶかもしれない状況に追い詰められていく。

 


 

 一貫して冷徹な仕事ぶりを見せる裏の顔と、為替ディーラーと職業を偽りながら家族に見せる優しい表の顔。舞台出身のマイケル・シャノンが演じるククリンスキーは、悲惨な生い立ちから生じる心の闇を滲ませ、殺し屋の表と裏の心理面を奥深く感じさせる。逮捕後、平然と数多くの殺人を語りながら唯一感情を取り乱したのは、家族について触れられた時だという。だが、2006年に刑務所で死亡するまでの20年間、一度も家族と会うことはなかった。マフィア組織カンビーノファミリーに関する裁判で証言する直前の死亡だったので、暗殺されたのでは?という噂もながれているとか。

(河田 真喜子) 

公式サイト⇒  http://iceman-movie.net/

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