『愛しのフリーダ』
原題 | Good Ol’ Freda |
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制作年・国 | 2013年 アメリカ・イギリス |
上映時間 | 1時間26分 |
監督 | ライアン・ホワイト |
出演 | フリーダ・ケリー |
公開日、上映劇場 | 2013年12月7日(土)~角川シネマ有楽町 ヒューマントラストシネマ渋谷、12月21日(土)~梅田ガーデンシネマ 他全国順次公開 |
~ビートルズの陰にフリーダあり。ファン羨望の仕事を貫いて~
イギリス・リヴァプールで誕生し、世界的な人気を博して伝説のバンドとなったザ・ビートルズ。あまり知られていないが、彼らとファンをつなぐ橋渡しのようなひとりの女性がいた。フリーダ・ケリー。ある日、同僚に誘われて足を運んだクラブで、まだ無名のビートルズの演奏と出会った。17歳の彼女はすっかりその音楽に魅了される。何度も何度も彼らの音楽に触れるうち、メンバーとも親しくなり、やがてバンドマネージャーから秘書にならないかと誘われる。そこから、世界中のファンが憧れるポジションに身を置くことになったのだ。
若き日のフリーダは、何ともキュートで初々しい。どんどん有名になっていくビートルズ、世界中から山のように届くファンレター。ファンクラブの運営も彼女に任されていく。しかしながら、このドキュメンタリーを観ながら感じるのは、彼女の類まれなる誠実さだ。ショービジネスやマスコミの世界では、ちょっとイイ地位についたとたん、手のひらを返すようにころっと態度の変わる人がいる。自分のエラさを認めるよう、相手に強要するかのような。しかし、彼女は変わらない。自分がファンだったから、熱狂的なビートルズ・ファンの気持ちがよくわかると言い、メンバーのプライバシーを大事にしつつ、ファンの気持ちにも寄り添う。その若さで、よくそういう気配りや強い意思を持てたもんだと感心してしまう。1960年代の音楽業界はまだまだ男社会、大変なことも多かっただろうが、メンバーやメンバーの家族からも絶大な信頼を寄せられたという。
フツーの主婦になりたくて彼女は仕事をやめるが、その時の引き際や後始末もみごと!以降、自分の足跡を自慢したりなどせず、ずっと語りもしなかったという。今はイイ感じのオバサマになったフリーダの言葉がまた素敵だ。「名声や富なんて無意味よ」。ビートルズのメンバーとのエピソードも多く出てくるが、まっすぐな気持ちを持つひとりの女性の歴史として非常に興味深く、その生き方に、観る者は爽やかさを感じるに違いない。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://freda.jp/index_other.html
Courtesy of Freda Kelly