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『ダイアナ』

 
       

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作品データ
原題 DIANA
制作年・国 2013年 イギリス 
上映時間 1時間53分
監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演 ナオミ・ワッツ、ナヴィーン・アンドリュース、ジェラルディン・ジェームズ他
公開日、上映劇場 2013年10月18日(金)~TOHOシネマズ有楽座、新宿バルト9、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、他全国ロードショー


~伝説のプリンセス、ダイアナの恋・仕事・生きがい~
 

Diana-2.jpg イギリス王室のウィリアム王子と妻キャサリン妃の間にこの7月ロイヤルベイビーが誕生し、世界でも大きな注目を集めたことは記憶に新しい。このウィリアム王子の母である元イギリス皇太子妃のダイアナは、81年20歳という若さでチャールズ皇太子と結婚して以来、ファッションアイコン的な存在として世界の注目を一身に集めてきた。97年に36歳という若さでパパラッチの追跡が原因のショッキングな事故死を遂げたときは、イギリス国民だけでなく、世界中が追悼ムードに包まれ、その存在感の大きさを実感したものだ。今だに絶大なる人気を誇っているプリンセスダイアナが亡くなる前の2年間に焦点を絞り、自分らしく生き、世界を変えるべく精力的に活動する姿を描いた本作を観ていると、再び“ダイアナ”に会えた喜びに胸が躍る。

 

Diana-3.jpg ダイアナを演じるナオミ・ワッツは、その佇まいから喋り方まで在りし日のダイアナを彷彿とさせ、見事に彼女のスピリッツを体現している。公務の姿だけでなく、ケンジントン宮殿ではくつろいだスタイルで自炊したり、恋人と会うためにウィッグで変装をして飛び出していくような知られざる素顔は、ラブストーリーのヒロインそのもの。一方、様々な場所で多数の観衆を前にスピーチするシーンでは、自らの言葉で人心を掴むパフォーマンス力の高さも垣間見える。実際にダイアナが着用した数々のワンピースや愛用のバッグが登場し、エレガントなダイアナファッションがよみがえるのも感慨深い。

 

Diana-4.jpg ダイアナは宮殿内で味方がいない代わりに、世間を味方につけることの大事さを身を持って知っていた。自傷やチャールズ皇太子の不倫を宮殿内で独占インタビューさせ、TV放映の翌日に、新聞の扱いや視聴者の支持具合を綿密にチェックする。パパラッチにも自ら情報を流し、ゴシップ写真を撮らせる一方、ルールを守らない場合は自ら事務所に抗議する等、情報操作に長けたしたたかな一面も露呈している。新しい恋人ハスナット(ナヴィーン・アンドリュース)はそんなダイアナの唯一の支えだったが、ダイアナと結婚することでプライバシーのない生活を余儀なくされる現実を突き付けられ、2人は大きな壁に阻まれてしまうのだ。

 

Diana-5.jpg 愛息たちと自由に会うこともままならず、離婚により妃殿下の称号がはく奪されても、自身のライフワークとして地雷除去運動やエイズ救済活動に尽力し、自ら除去現場を歩くパフォーマンスもしてみせたダイアナ。その影響力は衰えることなく、後世にその足跡を残した。注目を浴び続けた波乱の人生だったが、"Anything is possible,isn't it?"というダイアナの言葉通り、愛する人を信じ、最後まで希望に満ちていたに違いない。人々の中に生き続けるプリンセスであることを願ったダイアナは、決して悲劇のプリンセスではなかった。
(江口由美)

公式サイト⇒http://diana.gaga.ne.jp/


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