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『スティーブ・ジョブズ』

 
       

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作品データ
原題 JOBS
制作年・国 2013年 アメリカ 
上映時間 2時間8分
監督 ジョシュア・マイケル・スターン
出演 アシュトン・カッチャー、ダーモット・マローニー、ジョシュ・ギャッド他
公開日、上映劇場 2013年11月1日(金)~TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ二条他全国ロードショー


~現代の偉人ジョブズ、

  その絶えることのない情熱と挫折に迫る~
 

 私はipodからはじまり、iphoneを愛用する10年来のアップル製品ユーザーだが、一企業のプロダクツが我々の生活や文化を大きく変えていくことを体感させてもらい、アップル社のポリシーを製品を通じてシェアしている。アップル社の創業者、スティーブ・ジョブズは、"Think different"というキャッチフレーズそのままに、常に他とは違う新しいことを創造するということを自社の使命として、強引なまでのリーダーシップを発揮し、我々の常識を超えた新商品を次々と生み出してきた。2011年に逝去した現代の偉人、ジョブズの人生を、アップル社創設から紆余曲折を経て、低迷した自社を立て直すべく再びトップで采配を振るうまでにフォーカスした伝記映画だ。

 

SJ-4.jpg 冒頭から社員の前で新商品のプレゼンを行うジョブズの姿が映る。白髪交じりのショートヘアに、Tシャツ、ジーンズのお決まりのジョブズスタイルは記憶に新しい。アシュトン・カッチャーが甦らせたジョブズは、1000もの音楽をコンパクトに持ち歩ける画期的な音楽プレーヤーをジーンズのポケットから取り出す。音楽業界の構造を一変させたipodがお披露目された瞬間を見ただけで、涙が出そうになった。今でこそ当たり前のことが、実は本当に新しい感動をもたらすことだった。

 

 

SJ-2.jpg そんなジョブズの大学時代は相当自由なものだったようだ。1970年代前半、ヒッピースタイルの学生が行きかう中、さっさと大学を中退したジョブズはインドや瞑想に興味を示し、LSDで現実逃避をしたり、実の親に捨てられたことがトラウマになっている繊細さも見えた。しかし、就職しても、簡単に組織に馴染む人間ではなかった。不可能を可能にすることに価値を見い出し、高校の先輩、後にアップル社の共同創業者となるウォズニアックと自宅のガレージを作業場にしていたことは、あまりにも有名なエピソードだ。投資者のマイク・マークラと出会い、創造の結実「アップル社」を設立したジョブズは、テレビとタイプライターを合わせた世界初の一体型パーソナルコンピューターAPPLEⅡを発売。一躍時代の寵児となっていく。

 

SJ-3.jpg 私生児を我が子と認めない非道とも思える冷たさを見せる一面や、仲間であっても無能な人材は切り捨てる経営者としての一面も捉えながら、それでも常に斬新な新しいモノづくりに情熱を傾けるジョブズの姿を徹底的に観る者に焼き付ける。取締役会での壮絶なやりとりや、肝いりでペプシ社から引き抜いたCEOジョン・スカリーとの決別など、自身が設立した会社を追い出される悲劇の裏側を余さず描き、ジョブズ成功神話の陰にある挫折とそこからの復活劇がより際立っていた。

 

 「世界を変えると本気で思った変人が、世界を変える」 強いリーダーシップでアップル社のブランド力を確固たるものとし、産業構造すら変える発想の転換で世界を驚かせてきたジョブズの衰えることのない情熱を、アシュトン・カッチャーが鬼気迫る演技で見事に体現してみせた。ジョブズが与えてくれた驚きをもう味わうことができないのかと思うと、改めて寂しさが押し寄せた。(江口由美)

公式サイト⇒http://jobs.gaga.ne.jp/ 
(C) 2013 The Jobs Film,LLC.

 

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