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『陽だまりの彼女』

 
       

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作品データ
制作年・国 2013年 日本 
上映時間 2時間9分
原作 越谷オサム著 『陽だまりの彼女』新潮文庫刊
監督 三木孝浩
出演 松本潤、上野樹里、玉山鉄二、大倉孝二、谷村美月、菅田将暉、北村匠海、葵わかな、木ノ内みどり、塩見三省、夏木マリ他
公開日、上映劇場 2013年10月12日~全国東宝系ロードショー


~ビーチ・ボーイズと江の島が彩る、ファンタジーラブストーリー決定版!~

hidamari-2.jpg 2人が聞いていたお気に入りの曲は60年代後半から70年代にかけてアメリカ西海岸のサーフサウンドとして大人気を博したビーチ・ボーイズの隠れた名曲『素敵じゃないか』。爽やかで、懐かしい気持ちになるこの曲が全編に流れるだけで、心地よさに包まれてしまう。「女子が男子に読ませたい恋愛小説No.1」との異名を持つ越谷オサムのベストセラー小説 『陽だまりの彼女』を、『ソラニン』、『僕等がいた(前篇・後篇)』の三木孝浩監督が映画化。いつの間にか自分の体験と重ねたくなるようなノスタルジックな雰囲気を演出し、どの世代が見ても暖かい気持ちになれるラブストーリーを作り上げた。

 

hidamari-3.jpg 主人公を演じるのは、『花より男子』シリーズの松本潤と、『のだめカンタービレ』シリーズの上野樹里。スクリーンで見るのは久しぶりの2人だが、松本潤は『花より男子』とは真逆のさえない素朴男子、浩介を好演している。上野樹里が演じるのは仕事のできるOLに成長した浩介の同級生、真緒。浩介との10年ぶりの再会を喜び、ブランクを超えて愛を結実させようとする一途さと、その裏にある不安な表情を印象的に演じている。

 

 2人の再会から始まる現代の物語と並行して語られるのは、浩介と真緒が出会った高校時代のエピソードだ。中学時代の2人を演じる北村匠海、葵わかなが、複雑な事情を背負った真緒と一人で彼女を守ろうとした浩介の初恋が芽生える様子を初々しく表現し、再会後の2人の気持ちへと繋いでいく。江の島での車窓の風景や、水族館、坂の上の猫がいる神社など、デートスポット満載の舞台を見て、在りし日の自分と重ねたくなる人も多いことだろう。

 

hidamari-4.jpg 水族館デートで魚を見て「おいしそう」とつぶやく天然キャラの真緒の秘密と、幸せ絶頂の2人に訪れた別れは、ファンタジーならではの優しさも溢れる。その昔「さよならは別れの言葉じゃなくて、ふたたび逢うまでの遠い約束」という歌詞があったが(『セーラー服と機関銃』詞:来生えつこ)、再会を信じて明日へと踏み出す2人には、暖かい陽ざしが降り注いでいた。永遠に一緒にいなくても、永遠の愛はあるのかもしれない。三木孝浩監督が見せてくれる初恋の情景は、彼方にあった私の青春の一ページをも甦らせてくれた。
(江口由美)

公式サイト⇒http://www.hidamari-movie.com/
(C) 2013『陽だまりの彼女』製作委員会

 

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