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『地獄でなぜ悪い』

 
       

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作品データ
制作年・国 2013年 日本
上映時間 2時間10分
監督 園子温
出演 國村隼、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近、堤真一
公開日、上映劇場 2013年9月28日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、T・ジョイ京都他全国ロードショー
受賞歴 第70回ベネチア映画祭オリゾンティ部門正式出品作品 


~青臭すぎて何が悪い。

   園子温流「これがエンターテイメントだ!」~
 

 『仁義なき戦い』の主題歌が流れ、ブルース・リーそっくりの登場人物がヌンチャクを振り回す。70年代アクション映画が甦ったかのような面白さだけでも見応え十分だが、本作はそれだけでは終わらない。映画作りの理想に燃え続ける自主映画監督がヤクザたちと映画を作ることになり、とんでもない相乗効果を引き起こす。園子音監督が実体験を元に20年前の構想を映画化したエンターテイメントは、アクションも笑いもノンストップだ。

jigokude-2.jpg ヤクザの組長武藤(國村隼)は、自宅に乱入した池上(堤真一)の手下を殺害した罪で服役中の妻しずえ(友近)の願いを叶えようと、一人娘ミツコ(二階堂ふみ)の主演映画製作を画策していた。「全力歯ギシり Let's GO! ギリギリ歯ギシり Let's FLY!」と歌うCMで子どもタレント時代に人気を博したミツコだが、武藤のゴリ押しで参加した撮影現場から逃亡してしまう。逃亡中に偶然出会った公次(星野源)と共に確保されたミツコは、自分たちで映画を作ると宣言した武藤に、公次を映画監督だと紹介し、その場をしのごうとするのだったが・・・。

jigokude-5.jpg 主演、國村隼のヤクザぶりは怖さと人情味が表裏一体でまさにはまり役だ。長谷川博己演じる思い込みが激しい映画監督平田は最初かなりウザく見えるが、撮影が始まる後半は彼のテンションに物語が追い付き、俄然面白味を増してくる。そして一番笑わせてくれたのは、自宅乱入時に出会った幼いミツコに一目ぼれしたヤクザ池上役の堤真一。恋するヤクザというギャップのあるキャラクターを、CMフレーズをキュートに口ずさみながら熱演している。女優陣ではジャックナイフのような切れ味に、妖艶さも加わった二階堂ふみが、抜群の存在感をみせ一瞬たりとも見逃せない。

jigokude-3.jpg 本物の映画を作ることを合言葉に、学生時代から活動を続けていた平田率いる映像制作集団「ファック・ボンバーズ」。園子温監督は、絶体絶命の公次と出会ったことで一世一代の映画づくりのチャンスを手にした「ファック・ボンバーズ」の面々を、自らの青春の輝きを取り戻したかのようにイキイキと描いている。ヤクザを撮影スタッフに従え、本物のヤクザ抗争を35ミリフィルムで撮影するのだから、迫力も必死さも段違い!日本刀で相手をぶった切り、血しぶきや首・手・脚が飛びまくる問答無用の血祭りクライマックスは、もう痛快の域だ。

jigokude-4.jpg 「お金が儲かる映画ばかり作って、日本映画をダメにするような監督ではなく、1本だけでも日本映画史に名を残す傑作を作る!」とひたすらその時を待ち続けた平田は、園子温監督の若き日の姿そのものに違いない。そして、今も自戒の銘として胸に秘めたことを宣言しているようにも映る。深作欣二監督や35ミリフィルムへのオマージュを捧げながら、園子温監督が表現した映画への想いは、荒唐無稽ながら青臭いまでの情熱に満ちていた。
(江口由美)


公式サイト→http://play-in-hell.com/
(C) 2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会

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