『サイド・エフェクト』
原題 | Side Effects |
---|---|
制作年・国 | 2013年 アメリカ |
上映時間 | 1時間46分 |
監督 | スティーヴン・ソダーバーグ |
出演 | ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム、ヴィネッサ・ショウ |
公開日、上映劇場 | 2013年9月6日(金)~TOHOシネマズ梅田/TOHOシネマズなんば/TOHOシネマズ二条/ OSシネマズミント神戸/TOHOシネマズ西宮OSほか全国ロードショー |
~精神科医を窮地に陥れた謎とは?名匠からのラスト・サスペンス~
1989年の『セックスと嘘とビデオテープ』で華々しくデビューしたスティーヴン・ソダーバーグ監督だが、なんとこの作品を最後に映画界から引退し、テレビ作品等の制作を専業とするらしい。本当だとしたら、なんとも残念なことだが、その節目となる本作は、久しぶりに本格派サスペンスを堪能したなあという後味を残してくれた。
冒頭、カメラはがっちりとした或るビルをとらえ、ゆっくりと近づいていく。まるで建物を舐めるかのような執念深さを湛えながら。そうして、一つの窓へ接近し、内部へ入り込んだと思えば、そこには血の跡が。ここでもう、観る者のテンションは一気に上がるのだが、このカメラワークが実に巧い!ラストでは同じ手法の逆バージョンが用いられ、こちらの意識は導入部にリセットされて、もういっぺん頭から観たくなるような気にさせられる。
「サイド・エフェクト」とは副作用の意味であるが、これは薬害を巧妙に絡ませた物語。鬱病の若い女性が、医師に処方された薬の副作用で夢遊病を引き起こし、意識のない状態で夫を刺殺してしまう。そのため、彼女を診察し、薬を与えた精神科医は、社会的地位までおびやかされ、のっぴきならない状況に追い込まれていく。だが、何かが変だと感じ始めた医師は、独自に調査を始めるのだが。
かよわい小鹿のような目をした女性が密かに抱いていたもの、人間の心に潜む暗黒の部分を、ルーニー・マーラが繊細に表出し、ジュード・ロウは、心の病のために自殺未遂を繰り返してきた女性を救わなければという医師の信条から出発し、やがて真実を暴きたいという正義感に揺れ動く男のかっとうを活写している。同じく精神科医を演じたキャサリン・ゼタ=ジョーンズが醸し出す謎めいた雰囲気も、この映画の重要なスパイスとなっていて、真実が明かされた時には唖然としてしまうほど。二転三転と転がる方向を変えていく物語はエキサイティングであり、良く練られた脚本の力が感じられる。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://www.side-effects.jp/
(c) 2013 Happy Pill Distribution, LLC. All rights reserved.