『マン・オブ・スティール』
原題 | Man of Steel |
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制作年・国 | 2013年製作 アメリカ |
上映時間 | 2時間23分 |
監督 | 監督:ザック・スナイダー 製作・原案:クリストファー・ノーラン |
出演 | ヘンリー・カビル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケビン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ |
公開日、上映劇場 | 2013年8月30日(金)~大阪ステーションシティシネマほかで、3D/2D同時公開にて全国ロードショー |
~「スーパーマン」誕生までの、遡り系物語だ~
チラシには「新スーパーマン、始動。」などとある。確かに始まりではあるが、スーパーマン始めであって、“新”スーパーマンではない。というのは、スーパーマンが誕生するまでの話が、「スターウォーズ」を持ち出すまでもなく、今や大ヒット作に付きものとなった遡り系で描かれるという次第である。
いわゆる、原作のアメコミにはない「スーパーマン」の作り方を、同じくアメコミの「バットマン」を進化させ大ヒットに導いたクリストファー・ノーランが、オリジナル・ストーリーを考案して映画化したということだ。監督はノーランではなく、「300<スリーハンドレッド>」のザック・スナイダー。基本は3Dで作るので、この3D臨場感を存分に表現できそうな監督を選んだようだ。
しかし、この3Dアクションがかつてないくらいの高速スピードとなっていて、動体視力の素晴らしいスポーツ選手が見てさえも、果たして分かるものなのかどうかといった速さなのである。もちろん、老眼鏡の世話になりかけの筆者には、とてもとても…。但し、3Dで見てこそ映えるシーンは満載だ。スーパーマンと、スーパーマンが生まれた星から来た地球侵略グループとの対決は、数度にわたって展開する。そのメイン・アクションは、何とシンプルな格闘=バトル系なのだ。超高速でぶつかり合い、その衝撃で背後へ、これまた高速で吹き飛ばされる。侵略組と地球軍隊との対決では、爆弾兵器による爆発が主流。しかし、地球の気圧やら環境条件を変えて、高層ビルを次々に潰してゆくシーンは、これまでの映画にはなかった新しいところであろうか。
加えて、地球侵略組がエイリアン的おぞましき造形キャラではなく、あくまで人間タイプである点も違うところだろう。スーパーマンの故郷を地球ではない別の星に設定したことで、人間造形のスーパーマンだから、別の星にも人間がいたという設定にしなければならなかったのだろう。人間の住む惑星同士の対決という構図の、SF映画はかつてあっただろうか。発想の逆転的面白さにも魅かれる作品となった。
さて、ヘンリー・カビルとエイミー・アダムスが溌剌としている。ただ、若手の2人のアクションと恋が物語の芯にあるけども、名バイプレーヤーにも注目してほしい。スーパーマンの、地球の育ての両親役。久々に見たケビン・コスナーやダイアン・レインの、人間味あふれる演技にも魅せられた。スーパーマンの実父役ラッセル・クロウも、ヒューマン演技に比重が置かれている。高速アクション・シーン以外のところにも、酔ってみたい娯楽大作なのだ。
(宮城 正樹)
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