『最後のキス』《VIVA!イタリア②》
原題 | L‘ULTIMO BACIO |
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制作年・国 | 2001年 イタリア |
上映時間 | 1時間55分 |
監督 | ガブリエーレ・ムッチーノ |
出演 | ステファニア・サンドレッリ(『イタリア式離婚協奏曲』『誘惑されて棄てられて』『ミラノの恋人』)、ステファノ・アッコルシ(『息子の部屋』『ぜんぶ、フィデルのせい』)、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ(『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『パレルモ・シューティング』) |
公開日、上映劇場 | 2013年8月10日(土)~8月23(金)テアトル梅田にて2週間限定上映、近日公開~神戸元町映画館、京都みなみ会館 |
~人生の転換期を迎えた人々の悪あがき~
アメリカ映画ウィル・スミス主演の『幸せのちから』(‘06)で一躍有名になったガブリエーレ・ムッチーノ監督。『7つの贈り物』(‘08)、『スマイル・アゲイン』(‘13)と、今や家族の物語を描ける数少ない監督として、本国イタリアよりアメリカでの活躍が目覚ましい。そんな彼が2001年にイタリアで撮った作品が『最後のキス』である。ベテランのステファニア・サンドレッリをはじめ、若手のジョヴァンナ・メッゾジョルノやステファノ・アッコルシなど、のちに国際的にも活躍する俳優たちがほとばしる情熱をぶつけ合って、迫力ある人間ドラマとなって楽しませてくれる。
幼なじみのカルロ(ステファノ・アッコルシ)、マルコ、パオロ、アドリアーノ、アルベルトは、30歳を前に破天荒な青春時代と別れを告げようとしていた。結婚するマルコ、離婚を決意するアドリアーノ、別れた恋人に悩まされるパオロ、女性を愛せないアルベルト、そして、同棲中のジュリア(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)の妊娠を知り動揺するカルロ。人生の分岐点に立ち、悩みもがいた揚句、それぞれの生き方を選択していく。
さらにジュリアの母親のアンナ(ステファニア・サンドレッリ)は、50歳を迎え夫との冷めきった関係に悩んでいた。そんな矢先、娘のジュリアの妊娠の知らせを受け、喜ばしい反面、このまま年老いて行くことにショックを受ける。そこで、女としての自分を見出そうとするが、不倫するにもままならないことに気付き、夫との関係修復をはかる。
父親になることに恐れをなしたカルロは、なんと18歳の少女との恋に夢中になっていく。まるで中年になっていくのに抵抗するかのように。ところが、そのことがジュリアにバレてしまい、烈火のごとく怒り狂うジュリアを見て、少女との恋も一変に醒めてしまう。必死になだめながら、ジュリアの深い愛情を実感したカルロの変貌は、言うまでもない。
イタリアといえば「家族」の物語が多い。日本もそうだが、家族単位のものの考え方が強いようだ。結婚して、子供ができて、より家族の絆は強くなり歓びも多くなるが、その分家族のための時間や労力を必要とされる。もっとやりたいことがあったはず、違う人生もあったはず、などと後悔の念をつのらせることもあるだろう。だが、自分で選択した道であり、家族を慈しむことができる幸せは、違う楽しみとして人生を豊かなものにしてくれるはずだ。なんだかんだ言いながら、家族の愛に救われることの多いイタリア映画は、安心して見ていられるからいいなぁ~♪
(河田 真喜子)