『パシフィック・リム』
原題 | Pacific Rim |
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制作年・国 | 2013年製作 アメリカ |
上映時間 | 2時間10分 |
監督 | 監督・脚本・製作:ギレルモ・デル・トロ |
出演 | チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凜子、チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ、ロン・パールマン、芦田愛菜 |
公開日、上映劇場 | 2013年8月9日(金)~大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、ほか全国ロードショー |
~日本映画に影響を受けたハリウッド産怪獣映画だ~
本作では冒頭の方で、エイリアンは空からではなく、海中からやってきたというナレーションがある。地上と宇宙のモンスターは、ハリウッド映画では区分されている。ゴリラの「キング・コング」(1933年・1976年・2006年各製作)、ヘビの「アナコンダ」(1997年・2004年)などの巨大型に加え、動物そのものが地上で人を襲うタイプの「ジョーズ」(1975年)や「鳥」(1963年)などが傑作としてある。
アメリカでは、地上の異様な怪獣映画というジャンルは、「エイリアン」(1979年)的SF映画などで賄われていて、怪獣映画そのものは存在しないといっていい。だから、日本産の「ゴジラ」(全28作の第1弾は1954年)などは、ハリウッドにとっては衝撃的だった。ハリウッドでは、「ゴジラ」のリメイク「GODZILLA/ゴジラ」(1998年)が製作された。
本作はさらにバージョン・アップ。怪獣退治のために、ヒト操縦による巨大ロボットを登場させる。日本産ロボ・アニメからの応用だ。自動式ではなく操縦型とゆうのも日本式で、「ゴジラ」シリーズの、操縦型「メカゴジラ」との戦い(1993年の第20弾・2002年の第26弾)などを、ハリウッド流に作り込んだ大作。新味がいくつも付加されている。
ロボットの左脳と右脳の2つに分けて、2人が操縦する点。そして、チーム・プレーを深めるために、2人の互いの過去の記憶を、シンクロナイズするドラマティックなスタイルでいっている。例えば、コントローラー菊地凜子の過去が暴かれて、コドモ時代に東京で怪獣に襲われたエピソードなどが映される。菊地凜子の幼少時代を演じた芦田愛菜が泣き叫んで、ハリウッド映画デビュー。一方、殺した怪獣の脳ともシンクロできて、そちらからは怪獣の意図が見えてくる。死んだ怪獣の体内を探索して、いろんな臓器や骨などを売る、闇ビジネスの現場も映され、ブラック・ユーモアな新味があり…。
もちろん、いろいろ登場してくる、怪獣対ロボットの1対1対決シーンが大きな見どころだ。動体視力が重要な、近接撮影によるスピードフルな撮り方で、3Dで見たら2Dより分かりやすく臨場感は圧倒的だろう。子供たちの夏休みに、家族一同で安心して楽しく見に行ける1本になっている。
(宮城 正樹)
公式サイト⇒ http://www.pacificrim.jp
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