『ザ・タワー 超高層ビル大火災』
制作年・国 | 2012年製作 韓国 |
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上映時間 | 2時間01分 |
監督 | キム・ジフン |
出演 | ソル・ギョング、ソン・イェジン、アン・ソンギ、キム・サンギョン、キム・イングォン、ト・ジハン、イ・ハンウィ |
公開日、上映劇場 | 2013年8月17日(土)~シネマート心斎橋、今秋~元町映画館 ほか全国順次公開 |
~「タワーリング・インフェルノ」へのオマージュか!?~
誰にでも100パーセント分かる、超高層ビル火災のパニック映画である。そして、救助側と被災側を中心に描いていく群像劇タッチが、当たり前のように展開していく。振り返れば、この種の自然災害、もしくは、人為的ミスによるパニック映画は、1970年代のハリウッド産パニック・ムービーが、ほぼ原型をなしていると言っていいだろう。無論、それ以前にも、災害パニック映画はあったが、本格化したのが1970年代という意味である。さて、高層ビル火災パニックといえば、思い出されるのは「タワーリング・インフェルノ」(1974年製作)だろう。
というか、それしか思い出せないのは、筆者の不徳の致すところだが、しかし、本作は、かの作品を超えたと、ポスターにコピーまで入れて、堂々たる自己主張をしている。うーん、これをどう捉えるかが、本作の評価のポイントの1つになるだろう。パニック映画でオリジナリティーを出すのは、今や難しい領域に入っている。自然災害系は現実の方が過酷だし、人災の多い火災となればどうなのだろう。但し、韓国のパニック映画は、ハリウッド映画をパクるって言ったら聞こえは悪いが、そういう方向性が、日本映画と同じく多いのが現状としてあると思う。
例えば、だ。火災・消防関係でいくと、「リ・ベラメ」(2000年)は「バックドラフト」(1991年)を、80パーセント近く意識していたし、「ユリョン」(1999年)の「クリムゾン・タイド」(1995年)、「ツナミ」(2010年)の「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年)、「第7鉱区」(2010年)の「アビス」(1989年)など、ちょっと列挙してみたら、これが結構あるので驚いた。
しかし、そんな中でも、やはりオリジナルなところは、少なくとも主張していきたいところだ。では、本作の場合は…。バージョン・アップしたと言いたいところだが、「タワーリング・インフェルノ」的にするために、火災発生源さえ無理にこじつけて、強引にお話を進めていく。自然災害と人為災害が合わさったものとなっているが、何とかみんなの満足度は、呼べるラインにはなっている。さらに、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)を嚆矢とする、パニック映画における犠牲精神の描写もそれなりになされて、いちおうの体裁は整えられている。
おろおろして、泣き叫ぶだけのソン・イェジン。これは彼女の一つの持ち味と言えるのかもしれない。妻とのシークエンスはもうワンカット欲しかったけど、犠牲精神という名のヒロイズムへといくソル・ギョング。カッコいいことはいいのだが…。「タワーリング・インフェルノ」はこの前、テレビでカット版が放送されたけども、レンタルではノーカットなので、借りて見てみて本作と比較するのも、面白いかもしれない。その比較や評価のほどは、もちろん、みなさんにお任せ。でも、21世紀的な技術向上の上で作り上げた本作は、映画館で見てこその臨場感仕上げになっています。みなさん、映画館へ行って、ぜひご確認ください。
(宮城 正樹)
公式サイト⇒ http://www.thetower-movie.info
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